昔の携帯電話みたいな携帯電話
(+Bluetoothヘッドセット)
最先端のスマートフォンや、話題のスマートウォッチ、デジタルカメラもその原型は実は1980~90年代にすでに登場している。“今まで見たこともない”などという究極の形容詞がついても、そのひな形やコンセプトはずっと昔に存在しているものだ。“今まで見たこともない”と思うのはその人が単に知らないだけのことなのだ。

持ち心地、話し心地、すべてが最高のブリック
そういう意味で、近未来の姿を見たければ、過去の歴史や先人の足跡をたどってみるのがいちばんの近道だ。
どんな新しいデザインコンシャスなスマートフォンが登場しても、周囲のみんなが同じものを持ち、見慣れてくれば何の変哲もないその他大勢のスマホになってしまう。
スマホの世界で群を抜いた目立ち度を狙うなら過去のベストデザイン携帯電話に現代のテクノロジーをハイブリッドしてリバイバルさせるのが一番だろう。筆者の周囲でも同様のお話が再三再四登場するが、現実の商品として陽の目を見ることはまずないだろう。
欧米に比べてコンパクトな日本市場のサイズや、ジョークを楽しむという余裕がベンチャー企業のトップにさえないからなのかもしれない。しかし海の向こうではしっかりとそういう“おバカで格好いい”伝統的な携帯電話スタイルの携帯電話+(プラス)機能を実現した商品が2年近くも昔に登場している。
商品の名前はその名もズバリ「THE BRICK」だ(ブリック=レンガ)。パッケージを開けると、クイックスタートガイド、バッテリー(1000mAh)、USB/ACアダプター、microUSBケーブル、バッテリーマウントブラケット(スペーサー)、本体、本体裏ブタなどが出てくる。
GSMのインフラがあれば携帯電話にもなる
本体内部には、GSM対応SIMとmicroSDカードのスロットが用意されている。GSMインフラが存在しない環境では単体の携帯電話としては使用できないが、“Bluetoothハンドセット”としての機能を楽しむことだけが可能だ。一方、海外の多くの国では2G GSM SIMを挿入して単体の携帯電話として利用することができる。それでもこの特徴的なデザインは極めて魅力的だ。
音楽や写真データの外部ストレージとしてmicroSDカードを挿入し、その上に付属の薄型バッテリーをセット、バッテリー位置を固定するためにバッテリーマウントブラケットで押さえ、裏ブタを閉じる。
実際にこの状況で手に持って話すスタイルをとってみると、話すことが主たる目的だった古き良き時代の携帯電話の形状やバランス感覚の素晴らしさを実体験できる。本体底面には専用クレイドル(別売)に立てかけて充電するためのピンが2ヵ所ある。残念ながら筆者の購入したキットにはクレイドルは付属しておらず、側面のmicroUSBポートにUSB充電ケーブルを接続し、スマホと同様の充電を行うことになる。
充電はほんの短い時間で100%に達する。実際に海外で2Gのキャリアサービスを利用する場合には最大14時間のバッテリー駆動ができるそうだ。ブリックは1.77型(128×160ピクセル)のカラーLCD TFT Displayを採用している。
クラシカルな着脱可能なアンテナ部分を除き、本体の高さは200mm。横幅約50mm、奥行き約45mm、重量217gのレンガスタイルだ。見てフリックすることが前提にデザインされた現代のスマートフォンと、ただ話すことを大前提にした携帯電話のデザインの違いは極めて面白い。
(次ページに続く、「懐中電灯や音楽プレーヤーとしても使える!」)

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