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7つの社会価値創造テーマと、それを支えるNECのICT技術を披露

社会ソリューション分野に注力するNEC、遠藤社長が講演

2014年11月21日 09時00分更新

文● 大河原克行

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価値創造を支える4つのICT技術をデモを交え紹介

 こうした話を踏まえて、遠藤社長は「価値創造を支えるNECのICT技術」について触れ、クラウド基盤、画像認識映像処理、ビッグデータ処理技術、SDNの4つの技術について説明した。

NECが持つICTアセットと価値のつながり

 クラウド基盤としては、今春開設した「NEC神奈川データセンター」を紹介した。3000ラックを収納できるこのフラッグシップデータセンターでは、1ラックあたり704サーバー、2816コアのサーバーを格納し、コストパフォーマンスと高信頼性を両立する「NEC Cloud IaaS」を提供している。採用事例として、販売関連会社8社のシステムを統合し、運用コストを20%削減した明治フレッシュネットワークの例を紹介した(関連記事)

 さらにNECでは、メニーコアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を開発したことで、複雑な分析処理のリアルタイム化を実現している。100人以上が写っている画像から特定の人物を認識する処理において、既存システムでは約26秒かかっていたものが、この技術を使うことで0.41秒で処理できるデモストレーションを披露した。

NECのフラッグシップデータセンターである神奈川データセンター

 SDNについては、流れてくる情報を論理的に分割し、処理や伝送が行える特徴を示しながら、「これは今後大切な技術になる。セキュリティ強化の観点からも有効なものである」と位置づけた。

 具体的な事例として、災害時に音声通話やメールなどの通信帯域を柔軟に変更、拡大する技術を紹介した。「これまでの仕組みでは簡単にはできないことが、SDNでは柔軟にでき、環境に応じて最適なネットワーク運用を可能にする」。さらに、JR東日本の東京駅構内共通ネットワークの事例も挙げ(関連記事)、新たなサービスの迅速な提供や運用コストの低減が可能になったと説明した。

 ビッグデータ分析エンジンについては、得意とする「顔認証技術」を取り上げた。同技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)の評価において、正確性と速度で6年間にわたって1位の座を維持している。「その背景にあるのは相関関係を分析するエンジン。これを生かしたのがインバリアント分析と異種混合学習技術であり、これがビッグデータ時代に大きな役割を果たす」。

 インバリアント分析では、個々のデータではなく、システム全体のデータを対象に平常時の状況との変化や異常を早期に検出することができるものであれ、やはり相関関係の分析技術が重要な役割を果たすという。中国電力島根原子力発電所の事例では、発電所1基あたり3500個のセンサーを設置し、1秒間に30~40万件のデータを収集することで、相関関係から異常発生を発見する。これまで異常発見ができるのは30分前のことだったが、インバリアント分析を用いることで6~7時間前に発見できるようになったという。

 異種混合学習技術は、異なる様々なデータを分析することで、異なるタイプのパターンや規則性を発見し、将来の状況を予測する技術で、商品需要予測や電力需要予測、適正価格予測、品質予測、劣化予測などに応用できるという。この技術を用いて、NECフィールディングでは補修部品の需要予測に活用。大林組ではビルの稼働状況や気温、天気などのデータを組み合わせることで、2週間先の電力需要を2~3%の誤差で予測できるという。

 画像認識技術では、画像情報から個体を識別、認証できるセンシング技術を活用して、状況を可視化する事例を紹介。顔認証技術を国家インフラ分野を中心に世界20カ国以上で導入実績があること、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは顔認証システムの導入により、年間パスを持っている人の手続きの簡素化と、エンターテイメント性を向上させることに成功。そのほか、超解像度技術による不鮮明なクルマのナンバーの画像の鮮明化、霧や暗闇での画像の鮮明化、群衆行動認識、周辺状況のセンシング利用などのデモストレーションを行ってみせた。

 最後に遠藤社長は、あらためて7つの社会価値創造のテーマに触れるとともに、「Orchestrating a brighter world」の文字をスクリーンに映し出し、「みなさんとともに、新しい価値を持つ社会を作っていきたい」と講演を締めくくった。

 NECが社会ソリューション分野に対して、様々な独自技術を用いながら社会貢献し、そこにビジネスチャンスを見いだしていることを示す内容になったといえよう。

 なお、「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」では、慶應義塾大学総合政策学部教授であり、グローバルセキュリティ研究所所長の竹中平蔵氏による「アベノミクスと世界経済:2015年を展望する」と題した特別講演や、前サッカー日本代表監督であるアルベルト ・ザッケローニ氏と元サッカー日本代表監督である岡田武史氏による「日本が超えるべきもの」をテーマにした特別講演が行われるほか、約80のセミナーを実施。展示会場では、約100にのぼる最新技術および最新製品を展示している。入場は無料。

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