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様々な危険を可視化し未然に防ぐ技術を多数展示

NEC、不法ドローン・災害・混雑などの危険を「見える化」する技術を展示ーCEATEC JAPAN 2015

2015年10月08日 09時00分更新

文● 八尋/ASCII.jp

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「CEATEC JAPAN 2015」のNECブース

 10月7日から10日まで幕張メッセで開催されるアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2015」。NECブースでは、準天頂衛星システム「みちびき」を始めとしたソリューションを展示。NECが今後展開していくソリューションをスタッフが解説してくれたり、デモ映像の閲覧などができる。

 今回の出展で印象的だったのは、土砂災害の予兆を「見える化」するセンシングシステムや、映像監視ドローン検知ソリューションなど、災害や事件などから人々を守る技術に関しての展示が多かったということだ。

「みちびき」は2018年に4機体制、2023年に7機体制に
山の中やビル群など、電波が届きにくい場所での精度向上を目指す

準天頂衛星システム「みちびき」の概要説明が聞ける

 NECは、JAXAの指導のもとで、みちびきの衛星測位システムを開発・製造しているほか、地上側の衛星管制システムの開発・運用を担当している。ブースでは、担当スタッフからみちびきの概要説明や今後の動向を聞くことができる。

 携帯電話やカーナビなどに搭載されるGPSは、人工衛星によって現在位置を計算する「衛星測位」を利用している。衛星測位では、衛星からの電波を受信して衛星から受信機に到達するまでの時間を求め、電波の速度を掛け算して距離を計算している。衛星測位に必要な衛星の数は、東西方向、南北方向、高さの三次元位置に加え、受信機時計を計算する計4機。しかし、この数ではビルなどによる反射波や、上空100~1000km付近にある電離層により誤差が生じてしまう。この誤差は、衛星の数を増やすことで改善できるのだという。

みちびきの準天頂軌道の動きを確認できる模型

 準天候衛星システム「みちびき」は、2018年に4機体制、2023年に7機体制になる。これにより、上空の人工衛星がなるべく広い範囲にまんべんなく配置されるようになるので、特に水平方向の測位精度が向上するという。また、電離層によって発生する誤差は、測位信号の周波数に応じて異なるため、複数の周波数を同時に受信して計算することで改善できるとしている。

 測位衛星は、主に米国のGPSに依存しているため、万一利用できなくなった場合に経済活動に大きな影響が生じてしまう。この事態を防ぐために、みちびきは日本独自の測位衛星として2016年~17年度に打ち上げ、2018年には4体制でサービスを開始する予定だ。

太陽光発電の余剰電力の抑制量を3分の2に!

火力発電の制御する電力量を少なくするための出力制御技術

 供給電力の量が需給電力の量を超えてしまうと、停電してしまうことはご存知だろうか。この事態を避けるため、出力変動の大きい太陽光発電では、供給電力が需給電力を超えないように余剰電力を抑制する必要がある。しかし、現在停電を極力避けるため、多くの電力が抑制されているという。

出力制御技術の概要

 この抑制する量を少なくするために開発されたのが、今回展示してある出力制御技術だ。この技術では、余剰電力の抑制のために太陽光による発電量を高精度に予測するとともに、予測値のずれ幅を把握することで、各発電事業者に割り当て可能な最小限の抑制量を算出可能だという。同時に、太陽光発電所の設置場所の気候条件と抑制履歴を考慮し、抑制量の公平な割り当てもできるとしている。

 この技術により、複数の発電事業者に抑制量を一斉に配分する制御手法が実現できる。また、電力システムの運用シミュレーションを用いて評価した結果、従来の手法と比べて発電の抑制量を3分の2に抑えられるという検証結果がでたという。さらに、発生した余剰電力を蓄電池へ充電することで、さらに無駄になる電力を少なくすることが可能となっている。

グラフの青い線の上が余剰電力。下のグラフが従来の方法で、上のグラフがNECが開発した出力制御技術。上の方が制御している電力の量が少ないのがわかる

発生した余剰電力を蓄電池へ充電することも可能

土中にセンサーを埋め込み情報を収集・解析
土砂災害の危険度を「見える化」する土砂災害対策支援ソリューション

土砂災害対策支援ソリューション

 気候変動により起こってしまう土砂災害。この土砂災害を独自のセンシング技術やビックデータ技術などのITCを活用して危険度を「見える化」するソリューションも展示されている。

斜面に設置するセンサーのモックも展示

 このソリューションはセンサーを土砂災害が発生しそうな斜面に設置し、土中の水分量をモニタリングし、土塊重量、間隙水圧、粘着力、内部摩擦角を解析して斜面の危険度を算出する技術だ。これにより、土砂災害が発生する前に危険度の把握が可能になるほか、危険な場所と状態が特定できるため、取るべき対策が明確になるという。

災害発生現場で緊急通信網を構築できる「緊急モバイル」

「緊急モバイル」

 大規模な災害発生時に、通信網が麻痺してしまい現地と連絡が取れなくなってしまうことは過去何度も起こってきたことである。緊急モバイルは、こういった災害発生現場で無線機のみで自動中継ネットワークを構築可能な技術だ。1台の無線機で多様な周波数、通信方式に対応し、異なる周波数、異なる通信方式のネットワークに接続可能なほか、イーサネット・ポートを介してほかの衛星通信などのIPネットワークへ接続することもできる。

無線部と制御部の展示も

 これにより、リアルタイムにそれぞれの位置や危険地域などを制御端末に表示された地図上にシンボルとして表示し、情報を共有可能。音声サービスやショート・メッセージ、写真などのデータサービスも提供する。

重要施設におけるドローンの不正侵入を検知するシステムを開発

ドローンの不正侵入を検知するシステム

 最近世間を騒がせているドローンの重要施設への不正侵入。これを防ぐため、可視カメラによる不法ドローンの検知、監視、追尾が可能なドローン検知システムも展示中だ。不法ドローンの目視確認のほか、雲や鳥などとドローンを判別し、誤検知を減少させることも可能だ。また、不法ドローンの無力化や、操縦者を特定する技術についても、現在別途検討中とのことだ。

超高感度監視カメラ「NC-PT106 HDSDI SC16」(写真左)とVGA赤外線監視サーモカメラ(写真右)も展示してある

混雑状況を可視化・予測して迅速に人員誘導による混雑軽減が可能
群衆行動解析技術

群衆行動解析技術

 公共空間や大型施設において、既設の防犯カメラ映像を用いて混雑状況をリアルタイムに解析できる群衆行動解析技術も展示中だ。この技術では、混み具合を可視化・予測し、迅速かつ効果的な人員誘導により混雑を軽減できるという。人々の行動をかたまりとして解析することで、プライバシー保護にも配慮。

既設の防犯カメラ映像を用いて混雑状況をリアルタイムに解析できる

 また、混雑時に人が倒れた時の集団滞留や危険な行動をとる人から集団で逃げる行動なども解析するため、混雑環境下でも事件・事故やその兆しを早期に発見して対処が可能だとしている。

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