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4K60p対応、洗練された画像処理で地デジも4Kに迫る美しさ

AQUOS XL20は、8年後を見据えて作られた

2014年11月17日 11時00分更新

文● 折原一也、編集部、写真●小林 伸

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2Kの映像を4Kクラスに引き上げる、映像エンジンの熟成に真価

 今回取材にあたってAQUOS XL20の46インチ、52インチモデルを使い実機の画質もチェックしたところ、「超解像 分割駆動エンジン」の効果のほどを確認できた。

 AQUOSのクアトロン・プロによって実現されている「超解像 分割駆動エンジン」の技術を改めて解説すると、液晶の1ドットのなかに赤・緑・青・黄と4つのサブピクセルが存在することを利用して、輝度のピークを1ドットの中に2箇所作れるようになるため、実質的に2ドット分に近い情報量を引き出せるようになるというものだ。垂直方向については時間分割で交互に光らせることで実質的に2倍の情報を持たせ、フルHDパネルの4倍、すなわち4Kに近い画質を実現できるということになる。

 AQUOS XL20の画質のほどはどうか。厳密に言えば、原理上4Kパネル搭載のテレビと比べて画素そのものが大きくなってしまうものの、4Kネイティブ放送の表示については、概ね4Kと言っていいほどの画質を実現。特に動きも含めたスムーズさに違和感がない。

 筆者が最も感銘を受けたのが2Kテレビとしての画質だ。

 AQUOS XL20ではテレビ放送のテロップやカメラで撮影された丸みを帯びた文字、紀行番組で映った家の瓦のように斜め方向の情報が含まれるものでは自然な情報量を発揮する。特に強調感もなく映像の密度が増し、やはり4Kテレビに近い描写とも言える。

 フルハイビジョンの地デジ放送を視聴しても内部的にすべて4Kにアップコンバートされ高画質化処理を行う。さらにLSI自体の性能も上がり、実はデジタル信号処理の完成度も向上している。デジタル放送に含まれるノイズ成分がクリアに処理されていることも気に入った。

 「N-Blackパネル」による黒の沈み込みも見事で、プレミアム2Kテレビというカテゴリで見てもAQUOS XL20は良く出来ている。

なぜフルハイビジョンのパネルで4Kの表現ができるか

 フルハイビジョンのパネルの画素数が約200万画素(1920×1080)あるのはご存知のとおり。4Kテレビではこの画素数が水平・垂直とも2倍になり、画素数は約800万画素(3840×2160)となる。クアトロンPROはフルハイビジョン用のパネルを流用して4Kに匹敵する画質を実現するものだが、なぜそんなことができるのだろうか?

 その理由は、1画素をRGBの3色ではなく、RGB+Yの4色で表現するクアトロンパネルだからである。

 白の表現を考えてみよう。まず学校などでも習うように、光の3原色は赤(R)、G(緑)、B(青)だ。この3色を全部一緒に光らせると白く見える。さらに各色の強さを調整することで、グレーやさまざまな色を表現できるわけだ。一般的なテレビでは、この「RGB各色」をひとまとめにして1画素を構成している。

 一方、クアトロンパネルは、このRGBのドット(サブピクセル)にY(黄)のドットを加えている。再現できる色の範囲(色域)を広げ、中間色の表現をよりリッチにするためだが、もうひとつのポイントがある。それはYの光にも、赤と緑の成分が含まれているため、「青と黄の組み合わせ」だけでも白を表現することができる点だ。

 クアトロン PROでは、この1画素で2通りの白の再現ができるクアトロンパネルの特徴を応用。RGBのグループと、BYのグループ(実際にはRも利用し、色合いを調整)を交互に明滅させて水平方向の情報量を2倍に増やしている。同時にクアトロンパネルは縦長のサブピクセル(RGBYの各ドット)を上下に分割して駆動する仕組みも持っているため、垂直方向の情報量も2倍にできる。

 実際に製品化する際には、1フレームを2分割しないと情報が揃わない(30pであれば毎秒60回、60pなら毎秒120回の駆動が必要)点や、一度に点滅するサブピクセルの数が減るため、輝度が半分に落ちてしまうといった技術的な課題がある。またグレースケールの再現は4K相当だが、色の再現はフルハイビジョン相当に制限されてしまう。これらの課題を乗り越え、4Kパネルの画質に迫る画質を確立することも、クアトロン PROには求められている。

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