vCloud Airがいよいよ日本でラウンチ!
そして、今回の目玉はVMware自身が手がけるクラウドサービス「VMware vCloud Air」の国内販売開始のアナウンスだ。日本でのサービスは11月10日に販売開始され、VMware、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクコマース&サービスの3社が共同出資で設立されたヴイエムウェアヴイクラウドサービス合同会社から提供される。サービスは20社以上のパートナーから販売されるという。
vCloud Airはプライベートクラウドとシームレスに連携する企業向けのハイブリッドクラウドサービス。単一のツールから仮想マシンの自由の移行やプライベートクラウドとパブリッククラウド間のアプリケーション連携を実現する。vSphereのユーザーは、既存システムの拡張リソースとしてvCloud Airを利用することも可能だ。βテストでは、50社以上の日本企業が参加しており、「ネットワークまで含め、クラウドとオンプレミスを1つのツールで見られる」「オンプレミスからの移行が容易」「パフォーマンスが高い」など高い評価を得たという。
ゲルシンガー氏は、IT投資の90%がオンプレミスに対してで、2020年になっても投資の75%はオンプレミスだというIDCの調査を引き合いに、「オンか、オフかということではない。ハイブリッドクラウドこそが未来だ。セキュリティやマネジメント、妥協しないのがわれわれのソリューションだ」とvCloud Airをアピールする。
ゲルシンガー氏に紹介されたソフトバンクテレコム代表取締役副社長兼COO、ソフトバンク コマース&サービス 代表取締役会長である宮内 謙氏は、スマートフォンが普及し、クラウドやIoTのようなものまで使いこなしているコンシューマーに対して、企業のクラウド導入が遅々として進まない現状を危惧したと語る。
これに対して、vCloud Airは有効な選択肢となる。宮内氏は、「多くのオンプレミスやプライベートのシステムがいっぱいあるから移せないという。しかし、VMwareはみなさんの企業に入っている。しかも、リッチなネットワークでvCloud Airにリンクできるようになったことで、アプリケーションまで統合されたICT環境を提供できるようになった」と語る。
オンプレミスとパブリッククラウドをセキュアなネットワークで
今回提供されるサービスのメニューは、マルチテナント型IaaSの「仮想プライベートクラウドサービス」、物理的に分離された「専有型クラウドサービス」、さらにオンプレミスのvSphereで実行中のシステムをvCloud Airにレプリケーションする「災害対策サービス」の3つとなっている。オンプレミスとパブリッククラウドは、高品質なセキュアネットワークで接続され、両者をシームレスに連携できる。また、すべてのサービスには、コンピューティング、ストレージ、IPアドレス、プロテクションサポート、冗長性、高可用性、ファイアウォール、ロードバランシングなどが組み込まれている。
サービスの初期費用は無料で、希望小売価格(税抜)は仮想プライベートクラウドサービスが月額11万385円~、専有型クラウドサービスが月額98万9313円~、災害対策サービスが月額9万1508円~となっている。ソフトバンク本社ビル内には、vCloud Airのシステムを見られるデモ環境が用意される予定となっているほか、顧客の環境を診断するクラウド適性診断も提供される。また、海外で展開中のサービスも、2015年以降順次国内で展開していく予定。日本でのデータセンターに関しては、現在西日本に設置されているが、来年度には東日本にも構築される予定だ。
講演後のプレスイベントで質疑応答に答えたゲルシンガー氏は、「ピークにあわせて使われている今のデータセンターでは、リソースの利用効率は40%程度だろう。しかし、vCloud Airを使えば、80%くらいに上げられる。しかもクラウドの方にシステムを拡張できる」とハイブリッドクラウドのメリットを語る。インフラに関しては、詳細な内容を避けたものの、「ネットワークはNSXをフルに活用しており、物理的なロードバランサーやファイアウォールは使っていない。ローコストのハードウェアを使って、Software Defined DataCenterのメリットを享受している」と説明した。