Googleは「独占禁止法違反」を懸念?
Twitch買収に関しては、5月中旬にWSJが「Googleによる買収の可能性」を報じて話題となった。
前述のようにYouTubeを買収したGoogleだが、Netflixのように有料で滞留時間の長い動画コンテンツを配信するサービスや、今回のTwitchのようなユーザー参加型のライブストリーミングサービスでは後手に回っており、Twitch買収でプレミアムユーザーを取り込めるサービス拡大を目指したといわれている。
だがWSJが報じていたように、Twitch買収交渉はごく初期段階であり、具体的な金額などは出ておらず、買収の可能性も不確かなものだと報道時点での観測だった。
Forbesによれば、GoogleがTwitch買収を実現できなかった理由として、Google内部で「独占禁止法違反」の懸念が出ていたことが関係者の証言として挙げられている。WSJが5月時点で報じたデータによれば、ライブ配信サービスにおけるTwitchの全米トラフィックシェアは44%であり、GoogleがYouTubeで提供しているライブ配信サービスは次点に位置しているという。
おそらくは、YouTubeそのもののサービスも含め、GoogleがTwitchを吸収することでライブ配信における独占的シェアを獲得する可能性があり、これを警戒したのだと考えられる。
ゲーム市場を狙うAmazon.com
では、GoogleがTwitchを当初狙っていた理由はわかるが、なぜ今回はAmazon.comだったのだろうか? 同社では、新たなビジネスチャンスの場として盛り上がるゲーム市場を狙っているといわれる。2012年夏には「Amazon Game Studio」を立ち上げて自社ブランドでのゲーム配信事業をスタートしたほか、2014年4月には同社のKindle FireやFire PhoneのベースになっているAndroidカスタマイズOSの「Fire OS」を搭載したセットトップボックス(STB)の「Fire TV」を販売開始している。
Fire TVには別途オプションで「ゲームコントローラ」が用意されていることが知られており、タブレットやスマートフォンだけでなく、コンソールゲーム市場もまたターゲットにしていると考えられる。こうしたサービスのプロモーションの場としてTwitchを活用するのではないかという推測だ。
単純に広告プラットフォームのひとつとして見た場合でもTwitchは魅力的な存在であり、今後のさまざまな方面での活用も含めて買収としたのかもしれない。その意味で、買収が完了した直近でのAmazon.comとTwitchの変化はあまり見られないかもしれないが、2〜3年先を考えれば、Amazon.comの戦略にTwitchが活用される場面が増えている可能性がある。
また、各社による次の買収ターゲットとなる動画ジャンルは、(”化粧”の)「メイク」ではないかという声もあり、その動向にも注目したいところだ。