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省エネ、DCIM、HVDC、屋内位置情報など、新技術を活用/検証し発信するオフィス

NTTファシリティーズの新ビルは“自社技術の実証実験場”

2014年07月31日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 NTTファシリティーズは7月30日、新しい研究開発拠点「NTTファシリティーズ新大橋ビル」(東京都江東区)を報道陣に公開した。研究開発本部を集約した同ビルは、同社が研究開発を進めているさまざまなオフィスビル/データセンター関連技術を試験導入、検証し、顧客に向けて発信する機能も併せ持つ。

「NTTファシリティーズ新大橋ビル」は地上4階/地下1階建、建築面積934㎡/延床面積4342㎡のオフィスビル。隅田川に面しているが、敷地全体を1m高くして水防レベルをクリアしている(写真は正面、背面)

 NTTファシリティーズ 研究開発本部 本部長の植草常雄氏は、同ビルの存在意義として「建物自体が研究開発対象として活用できる」ことを挙げる。同本部が研究開発中のさまざまな技術を実験的に導入し、自らユーザー視点でのフィードバックを行うとともに、顧客に対する実践的なプレゼンテーションの場としても活用する方針だ。

NTTファシリティーズ 研究開発本部 本部長の植草常雄氏。“実証実験型オフィス”である同ビルを活用して「研究開発を可視化し、加速化し、高度化する」と語る

 同ビルが検証対象とする技術は、建物のライフサイクルコスト削減、安心・安全、快適&便利、データセンター運用効率化、省エネルギー化といったカテゴリーに分かれる。内覧会では、こうした技術を検証、活用する模様がオフィス内で披露された。

右に並ぶさまざまな開発/提供サービス群を、同ビル内で実際に活用している

たとえば、同ビルでは交流給電と直流給電を併用しており、LED電灯やディスプレイ、ノートPC、冷蔵庫などは直流給電を利用している

スマホ+ビーコンによる行動分析から運用開始後のオフィス改善も

 たとえば、建物のライフサイクルコスト全体を削減するために、設置コストの高い二重床の代わりに「天井フレーム方式」を採用したほか、未利用だったエネルギー(地中熱や外気冷熱、サーバー排熱)や再生可能エネルギー(太陽光発電)も活用する。また、建物の設計段階から運用段階に至るまで、建物や設備機器の情報をBIMデータ(3次元形状データ+コストなどの属性データ)として一元管理することで、将来の改修や更改、シミュレーションにかかる手間やコストを抑えるアプローチを取っている。

 オフィス環境の整備においては、建物全体を明確に「コミュニケーション」「研究」「リフレッシュ」という3つのゾーンに区分するなど、知的生産性を高めるための設計を実施。さらに、従業員が携帯するスマートフォンと建物内のビーコンで取得する位置情報から行動分析を実施し、コミュニケーションやリフレッシュを目的としたスペースが実際に活用されているかどうかを評価する。このデータは、スペースの再配置や改修における行動シミュレーションにも役立てられるという。

スマートフォン+ビーコンで取得する従業員の位置情報から行動分析を行い、オフィス設計の見直しに役立てる。そのほかにも、位置情報に基づき無人のスペースの電灯や空調を自動制御したり、従業員が最寄りの電灯/空調をコントロールしたりできる(右写真)

 ビル1階にあるガラス張りの「みせるサーバールーム」では、実際に研究開発本部の業務システムを運用しながら、DCIM(データセンターインフラ管理システム)やHVDC(高電圧直流給電)、難燃性リチウムイオン蓄電池、アイルキャッピング、高効率空調機「FMACSV」といった、同社の保有技術/製品を紹介している。

DCIMでデータセンターインフラとITを統合監視。リソース使用率が低い場合に、稼働サーバーを“片寄せ”して大幅に省エネルギー化する運用を検証中とのこと

同ビルにおけるコスト削減や環境快適化などの効果まとめ

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