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今秋登場のUbuntuスマホ、狙いはローエンドではなくAndroid対抗

2014年07月19日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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Androidに飽き飽きしたスマホファンを獲得したい

――ユーザーにUbuntuの魅力をどうやって伝える戦略ですか?

 まずはUbuntuをよく知っている人に伝える。この人たちが支持者となって広めていくパターンを想定している。Ubuntuそのものも00年代前半に広まったが、現在はSNSが発達しており、我々のようにコミュニティーを持つところには有利だ。

 MeizuとBQも固定ファンを持っており、それぞれのチャネルでコミュニティーができている。Meizuとの提携を発表以来、すでにMeizuの2万人のユーザーがUbuntuスマートフォンを話題にしており、掲示板にUbuntuセクションが立ち上げている。

他のモバイルOSのようにアイコンが並んだのホーム画面がない点もユニーク。アプリは左のランチャーから起動する

 我々の戦略としては、初年度に2万人程度の(ユーザーではなく)Ubuntuスマホ支持者を獲得したい。このぐらいの数があれば、小売店のスタッフトレーニング、OEMのビジネスモデル、プラットフォームの露出などの問題を解決できると考えている。

――Firefox OS、Jollaに次いで、Tizenも端末が登場します。

 Samsungは確かにTizenスマートフォンを発表したが、どのキャリアと提携したのか、価格はいくらなのかなど不明な点が多い。実際のところ、TizenはOrangeもNTTドコモも計画を延期している。

 Firefox OSはフィーチャーフォンからの乗り換えなどスマホは初めてというユーザーをターゲットとしており、競合すると思っていない。ローエンドはマージンが少なく、OEMにとっても魅力が少ない。マインドシェアという点では、新しいOSとして注目してもらう点で競合かもしれないが、狙う市場は異なる。

――ライバルはAndroidですか?

 そのとおりだ。ほかは気にしていない。我々はAndroidからシェアをとる。

 そのための戦略はできている。先に述べたように、我々は開発者、オペレーター、OEMの3者がAndroidでそれぞれ抱えている問題を技術とビジネスの両方で解決できる。さらには、ユーザーの問題も解決できる。Androidを使っている人のうち本当にAndroidが好きという人は少ないはずだ。Ubuntuはこのような既存のAndroidユーザーに、新しさやワクワク感を提供できる。

――Androidと競合するには、どのOEMが必要だと考えますか?

 BQとMeizuに加えて、ソニーとHuaweiにも加わってほしい。

 この2社を挙げた理由は、ともに単なるモバイルハードウェアメーカーではないからだ。ソニーはさまざまなフォームファクタのデバイスを展開しており、コンテンツも持つ。デジタルライフサービスも展開しており、エコシステムを持っている。Huaweiも中国では同じようなポジションで、クラウドサービスやメッセージサービスを展開している。

 ソニーはAndroidではエコシステムを構築できないが、Ubuntuはプラットフォーム(エコシステムはなく)を提供することで、ソニーがエコシステムを構築するのを支援できる。

 2社の他にも革新的な企業はたくさんある。特に中国にはOppo、Coolpad、ZTEなど多数のOEMが活発に拡大戦略を進めている。こういうところにもアピールできると信じている。

――OEM以外でのAndroid対抗戦略は?

 長期的には、まずはデバイスのローンチを成功させたい。OEMに対し、自分たちがサービスレイヤーを制御し、差別化をはかり、収益を得ることができることを実証していきたい。これにより、3番目のプラットフォームとして確固とした地位を確立する。

 次にコンバージェンスがある。Canonicalはスマホ、PC、TV、サーバー、クラウドで動くソフトウェアプラットフォームを目指して3年前から作業を進めてきた。開発者は一度開発したアプリをこれらの上で動かすことができる。Google、Apple、Microsoftなどはやっとコンバージェンスが重要だと気がつき始めたところだ。このようなコンバージェンスの動きは今後、業界のダイナミクスをかえることになるだろう。

――ウェアラブルにもUbuntuを拡大する予定ですか?

 モノのインターネットはビックトレンドで動向を注意深く見ている。何らかの形でUbuntuがウェアラブルに拡大する可能性は十分にある。ぜひ注目してほしい。

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