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「1試合4000万件」のデータ解析を支援、選手/チーム強化の環境作り

W杯ドイツチームもビッグデータで強化!SAPがスポーツ市場参入

2014年07月11日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 SAPジャパンは7月10日、日本のスポーツ・ビッグデータ市場への本格参入を発表した。試合やトレーニングの中で収集した選手の動きなど、大量のデータをリアルタイムに解析、その結果をチームや選手の強化につなげられる環境作りを「SAP HANA」などのテクノロジーで支援していく。

SAPジャパンが研究開発を支援する、データスタジアムのサッカー向け次世代サービス(後述)のイメージ

グローバルでは多数の実績、“データドリブンな戦術”を支援

 SAPでは、すでに2013年からスポーツ&エンターテインメント産業向けのさまざまなソリューションをグローバル市場で提供している。米国の大リーグ機構(MLB)、バスケットボール連盟(NBA)、ドイツサッカー連盟(DFB)などのスポーツ統括組織、F1チームのマクラーレン・メルセデス、アメフトのサンフランシスコ49ersなどのプロスポーツチームなど、数多くの採用実績を持つ。

 SAPジャパン バイスプレジデント Chief Innovation Officerの馬場渉氏は、ビッグデータ解析を通じてチームや選手の強化を図る取り組みの一例として、SAPとドイツサッカー連盟の共同プロジェクトで開発された「SAP Match Insights」を紹介した。

「SAP Match Insights」でドイツ対イングランドの試合をさまざまな側面からリアルタイム分析。画面をのぞき込んでいるのはメルケル独首相とキャメロン英首相(SAP YouTubeビデオより)

 Match Insightsでは、フィールド上の全選手とボールの動きを高精細カメラでトラッキングし、各選手の走行距離などの単純なデータだけでなく、たとえば選手同士の位置や距離、パス成功率などのビッグデータに基づく最適なパスの経路などもリアルタイムに解析する。試合後、解析結果は各場面の動画とともに監督や選手のスマートデバイスに配信され、客観的にパフォーマンスを見直すことを支援する。

 これにより実現するのが“データドリブンな戦術”だ。「経験や勘に基づくスポーツコーチングから、ファクト、データに基づくコーチングへ」(馬場氏)。たとえばドイツナショナルチームの場合、「1人あたりのボール保持時間を短くする」という戦略を打ち立て、トレーニングとデータ取得/解析を繰り返した。その結果、2006年には「平均2.8秒」だったボール保持時間が、現在では「平均1.1秒」に短縮されているという。現在開催中のW杯におけるドイツチームの活躍を見ても、その価値がわかるだろう。

 馬場氏によれば、サッカーの場合、かつては1試合あたりで取得できるデータ量は2000件程度だったが、トラッキングカメラや無線センサー技術が発達した結果、現在では「1試合あたり4000万件」ものデータが取得できるようになっている。上述した最適パス経路解析の場合、「組み合わせパターンは数兆通り」(馬場氏)も存在するため、高速な解析のためにはHANAのようなテクノロジーが必要となるわけだ。

(→次ページ、“未来予測”も!? データスタジアムの次世代サービスを支援)

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