ネットアップは7月3日、今年5月からスタートした同社2015年度の事業戦略発表会を開催した。昨年度の戦略発表で掲げた「3年間で国内売上を2倍にする」という中期経営目標を維持し、「顧客フォーカスの継続」「クラウド連携ビジネス強化」「パートナーリレーションシップ強化」を図る。

ネットアップ 代表取締役社長 岩上純一氏
出荷容量ベースで国内シェア1位を達成
発表会に出席した代表取締役社長の岩上純一氏は、まず昨年度(2014年度)の事業結果を振り返った。昨年度の国内売上高は前年比19.5%増(額は非公表)で、3年間で国内売上2倍という目標に向けて「まずまずオントラックな(順調な)数字」(同氏)。IDC Japan調査による2013年の外付型ディスクストレージシステム市場シェア(出荷容量ベース)において、国内シェア1位(15.7%)を達成したことも報告した。
また、昨年からコアソリューションとしてアピールしている新OS「clustered Data ONTAP」(関連記事)については、顧客の認知が進み、国内で250ノードが導入されたと公表した。「第4四半期には、出荷システムの20%以上がclustered Data ONTAPになった」(岩上氏)。
顧客ビジネスを理解し、業種別アプリケーションへの適用を
ネットアップでは、2015年度も引き続き「国内売上2倍」の目標を維持する。目標達成に向けた具体的なビジネス拡大戦略として、岩上氏は「顧客フォーカスの継続」「クラウド連携ビジネス強化」「パートナーリレーションシップ強化」の3つを挙げた。
“顧客フォーカス”とは、顧客のビジネスを深く理解し、顧客のデータライフサイクルを包括的に支援する製品/サービスを提供することだ。岩上氏は「この4年間、顧客と対話する機会を増やしてきた」と述べ、顧客のビジネスをよく理解し、ビジネス課題の解決を支援することで、結果的に製品出荷が伸びてきたと説明した。
特に、業種ごとのアプリケーション、ソリューション提案に注力していく。金融やテレコムではVDI、製造業ではCAE(設計/開発支援システム)など、業種ごとにストレージにとっての“旬のエリア”があり、成長率も非常に高いためだ。
こうしたアプリケーションは、IT部門ではなくLOB(事業部門)が中心となって導入するケースが多い。岩上氏は「売上を倍にするには、まずその機会を倍にしなければならない」と述べ、新規顧客への拡大に加えて、既存顧客においても従来のIT部門だけでなく、LOBへの働きかけを広げていくとした。
なおネットアップでは、ビジネスクリティカルなストレージを持つ大規模顧客に対し、専任コーディネーターを配置して、ネットアップが直接プランニング支援や保守サポートを提供する「Signature Service for Enterprise(SSE)」を、6月から提供開始している。
クラウド連携では、プライベートクラウド向け垂直統合型システム「FlexPod」の業績が好調なほか、パートナーとしてクラウドバックアップなどのサービスを提供するサービスプロバイダーが国内21社を数えるまでに成長している。また、現在Amazon Web Service(AWS)との協業で提供する、プライベートストレージとパブリッククラウドリソースの融合環境(関連記事)については、近日中に他の「ハイパースケールなクラウドプレーヤー」との発表も行うと述べた。
パートナーを通じ、NASだけでなくSAN市場にも拡大を
パートナーとのリレーション強化においては、サービスプロバイダーやSIベンダー対応の専任組織を強化するほか、新規ソリューションパートナーとの協業を進める。特に、SANソリューションを提供できるパートナーとの協業に注力するという。
ネットアップのストレージは、歴史的な経緯からNASとして採用されるケースが多い。しかし、岩上氏によると、米国市場ではすでに出荷の4割がSANストレージとして利用されている。一方で、日本ではまだSANとしての採用は1割程度にとどまっており、拡大の余地があるという。岩上氏は、NAS市場での販売も維持しながら、SANソリューションを提案できるパートナーと協業を進め、SAN市場にも食い込んでいく姿勢を示した。
また、販売パートナーの拡大により、サービス/販売エリアを全国規模に拡大していくことも目標に掲げている。「ネットアップの知名度はまだ低い。各地域のパートナーと一緒に活動して、まずはネットアップに対する認知を挙げていく」(岩上氏)。
