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iPhoneやPCで高音質リスニングを楽しむポータブルアンプのススメ 第3回

ポタアンにもバランス端子! 屋外でも最高の音楽を楽しむ!

2014年07月02日 17時00分更新

文● 鳥居一豊

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Astell&Kern AK120IIを試聴!
バランス出力で音場が広がり、音像も厚くなる

 さっそくその音を聴いてみよう。約20万円と携帯音楽プレーヤーとしては超高級機と言えるモデルだが、その音は期待以上のもので、高S/N、高解像度、高忠実度という言葉が次々に浮かんでくる。

 クラシックは、個々の楽器の音色の再現、空間の広がりなども鮮明に再現する。さすがと思わせるのは、極めて情報量が多いだけでなく、音の鮮度が高いハツラツとした表現になること。音色はあくまでも忠実そのものだが、音楽を生き生きと描く躍動感にあふれた再現になり、携帯プレーヤーとは思えない質の高さを感じる。

 ジャズでは、低音の伸びや解像感もしっかりと再現される。切れ味鋭いピアノの演奏だが、決して耳に突き刺さるような刺激的な音にはならず、自然な感触だ。ピアノ、ベース、ドラムの3つの音がクリアに描きだされ、テンションの高い演奏を満喫できる。

 DSD再生も試してみたが、リニアPCM変換とはいえ176.4kHzサンプリングのせいかDSDらしいしなやかさもきちんと再現できる。ジャズ・ギターの変幻自在な奏法やニュアンス豊かな再生が見事だ。

ケーブルの接続部にはMMCX端子を採用するシュア「SE846」

ケーブルの接続部にはMMCX端子を採用するシュア「SE846」

バランス接続ではこのようなケーブルを用いる

バランス接続ではこのようなケーブルを用いる

 続いて、バランス接続に切り替えて聴いてみる。試聴用のヘッドフォンは、手持ちのシュア「SE846」(実売価格10万円前後)を使っているが、シュアのイヤフォンの多くはMMCX規格のコネクターで着脱できるため、バランス出力用のケーブル交換が可能だ。

 MMCX規格で2.5mm4極端子のケーブルはいくつか種類があるが、ここではALO Audioの「2.5mm Balanced SXC 24 Earphone Cable-MMCX」(イヤホン 2.5・4極プラグ MMCX)を使っている。MMCX規格はソニーやオーディオテクニカの上級モデルでも採用している規格なので、比較的多くのモデルで使用できる。

 バランス接続にすると、クラシックの音場感が一回り大きくなったような豊かな広がりを感じた。広がって薄まってしまうのではなく、音の粒立ちはさらに明瞭になり、楽器の配置がわかるような立体的な音場になる。鮮度の高い音の再現など音質的なキャラクターは変わらないが、質はさらによくなったと感じる。

 ジャズでは、音像の厚みが増し、さらに彫りの深い再現となる。低音の響きが空間に広がって行くような伸びやかさが印象的だ。音の立ち上がりの素早さ、切れ味の良さはそのままに、微妙な響きまでしっかりと再現されることで、その場の雰囲気まで伝わるような音になる。立体的な音場で3人のプレーヤーの立ち位置までわかる。

 DSD音源のジャズ・ギターも、空間の広がりがよく伝わる再現で、ニュアンスもより豊かになる。また、ギターの胴鳴り感や声のボディー感もさらに厚みが増したように感じるのは、S/Nの向上で微妙な響きまでしっかり描かれている効果だろう。

 アンバランス接続に戻してみると、空間が縮むように感じられ、解像感は高いもののやや線が細いようにも感じる。アンバランス接続でも携帯プレーヤーとしては抜群に優れた実力を持っているのだが、バランス出力にするとさらにその実力が発揮される。もともと高価な製品でもあるので、この製品を買うならば、バランスケーブルも一緒に購入するのが正解だろう。

(次ページに続く、「ラトックシステム REX-KEB02AK」)

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