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ビッグデータ活用が関西の企業を改革する—「IBM Leaders Forum 2014 関西」

2014年05月29日 10時00分更新

文● 大河原克行

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「新たな価値創出に向けたビジネスとITの融合
-Business meets IT,IT meets Business-」

 一方、日本IBMの下野雅承取締役副社長執行役員と、日本IBMの薮下真平取締役執行役員は、「新たな価値創出に向けたビジネスとITの融合-Business meets IT,IT meets Business-」をテーマに、クラウド、ビッグデータ、アナリティクス、ソーシャルといった新たな技術を活用したビジネスの変革について、事例を交えて紹介した。

数々の事例を紹介する下野副社長(左)と薮下取締役執行役員

日本IBMの下野雅承取締役副社長執行役員

 下野副社長は、「Amazonは、インターネットで本を売りたいのではなく、インターネットを活用して新たなビジネスをやりたいというのが発端。たまたま売りやすいのが本だった。その結果、米大手書店であるボーダーズが倒産した。自動車保険は1日単位で申し込めるようになり、それをスマホから操作でき、保険の仕組みそのものを変えた。

 また、カーシェアリングが低料金で使用する仕組みができあがり、タクシー代わりにしてちょっと実家に帰る、店舗に大型商材を購入しにいくといった用途での利用が増えている」などと、デジタルがビジネスモデルを変えている例を示した。

 また、「情報システムの95%がシステム・オブ・レコード(定型業務処理システム)となっているが、これに、システム・オブ・エンゲージメント(協働のための情報活用システム)を加えることが多くの経営者の関心事となっている。

情報システムの95%がシステム・オブ・レコード(定型業務処理システム)となっているが、これに、システム・オブ・エンゲージメント(協働のための情報活用システム)を加えることが多くの経営者の関心事となっているとした

 これまでの情報システムは、最適化によるコスト削減が目的であったが、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウドなどの新たなビジネスモデルを生み出すものが求められている。それがシステム・オブ・エンゲージメントとなる。

 定型業務処理システムの改革はやり尽くした感があるが、協働のための情報活用システムはこれからの仕組みである。これを使って、どう新たなビジネスモデルを作っていくかがポイントとなる」(下野副社長)とした。

本田技術研究所

 また、4つの事例について説明。本田技術研究所では、日本と米国で走行しているフィットEVから5分ごとに情報を集めて、リアルタイム分析により、バッテリーの経年変化への対応や、CO2排出量の低減などを実現したという。

本田技術研究所では、日本と米国で走行しているフィットEVから5分ごとに情報を集めて、リアルタイム分析により、バッテリーの経年変化への対応や、CO2排出量の低減などを実現

富国生命保険相互会社

 富国生命保険相互会社では、年間60万件の顧客の声をもとに、テキストマイニングによって苦情を判別。1週間後に当該部門に情報を伝達していたが、苦情判別の自動化によって業務量を90%削減したことで、その日のうちに内容に伝達できるようになり、顧客満足度をあげたとした。

年間60万件の顧客の声をもとに、テキストマイニングによって苦情を判別。苦情判別の自動化によって業務量を90%削減したことで、その日のうちに内容に伝達できるようになった

鍋屋バイテック

 6万点の部品を取り扱う多品種微量生産の企業である鍋屋バイテックでは、100万件の見積履歴などを分析し、顧客に応じた最適な提案を3秒で提示する「受注レシピ」を実現。回答時間の短縮化などの効果により、受注率が10%向上したという。

100万件の見積履歴などを分析し、顧客に応じた最適な提案を3秒で提示する「受注レシピ」を実現。回答時間の短縮化などの効果により、受注率が10%向上

米家電量販店の顧客アプローチ

 また、米家電量販店において、アプローチの変更で顧客生涯価値を最大化した事例を紹介。様々なチャネルから入ってくる顧客情報を統合して分析し、個々の顧客に対して次に取るべき最適なアクションを自動的に抽出することで、最適なタイミングで、最適なチャネルを提供。キャンペーンへの反応率が2〜3倍に向上したことを紹介した。

様々なチャネルから入ってくる顧客情報を統合して分析し、個々の顧客に対して次に取るべき最適なアクションを自動的に抽出することで、最適なタイミングで、最適なチャネルを提供。キャンペーンへの反応率が2〜3倍に向上した

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