日本IBMは、1日に3つの同社プライベートイベントを同日開催。これを5月19日から、全国4ヵ所で順次展開する。
企業や団体の代表者および役員を対象にテクノロジーを活用した経営改革の提案を行う「IBM Leaders Forum 2014」、開発者やエンジニアを対象に、SoftLayerを中心とした日本IBMのクラウド事業に関するイベントとなる「IBM Cloud Exchange 2014」、ITを活用した戦略立案に興味を持つマネージャーや意思決定者を対象にした「IBM Innovation Forum 2014」の3つだ。
5月19日の札幌(会場・ロイトン札幌)、5月26日の大阪(会場・ヒルトン大阪)、6月3日の福岡(会場・グランドハイアット福岡)、6月11日の金沢(会場・ホテル日航金沢)で4会場において、それぞれ3つのイベントを同日開催する。
いずれも、午前10時〜12時30分までが「IBM Cloud Exchange 2014」、午後1時から午後3時45分までが「IBM Innovation Forum 2014」、午後4時〜午後7時までが「IBM Leaders Forum 2014」となっている。
1日で、経営者、役員、マネージャー、意思決定者、技術者、開発者向けに、それぞれに適したイベントを開催することで、各地域における日本IBMの存在感を高めるとともに、ITを活用したビジネス革新の提案を行ない、新規顧客開拓の足がかりにする考えだ。
「IBM Leaders Forum 2014 関西」
また、それぞれの地域ごとに、地元経済界代表や地場企業によるパネルディスカッションやセミナーなどを予定しており、大阪での開催となる「IBM Leaders Forum 2014 関西」においては、塩野義製薬の手代木功社長や日立造船の古川実会長兼CEOがパネルディスカッションに登壇。日本IBMの藪下真平取締役執行役員も出席し、アナウンサーの渡辺真理氏の進行で「スマートな時代の新たな価値創出」をテーマに討論を実施することになっている。
大阪での開催では、すでに予定数を越える応募がある人気ぶりだという。
日本IBM 関西支社長の須崎吾一執行役員は、「IBM Leaders Forumは、これまでに3回開催しており、その意義や狙いが浸透してきたことが大きい。このイベントからヒントを得ようという経営者の姿が見られている。170人の予定に対して、すでに220人を超える申し込みをいただいた。予定数を超えたが継続的に申し込みを受け付けており、会場に工夫を凝らして、なるべく多くの方々に参加していただけるようにしている」と語る。
また、「クラウドを活用して変えていこうというビジネスニーズが高まっているなかで、SoftLayerという製品をご紹介できる点も大きい。関西地域の企業は新たなものをどん欲に取り込んでいこうという意識が強く、ビジネス改革や新たなビジネスにつながるクラウドに対する関心が高い」とする。
「New Blue」とは何か
日本IBMでは、CAMS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル)を活用した新たなソリューション提案に力を注いでおり、それを「New Blue」という言葉で表現している。
メインフレームでの圧倒的な強さを背景に、「Big Blue」と呼ばれたIBMにとって、New Blueはまさに新たな領域への挑戦だ。
New Blueのターゲットとなるのは、これまで日本IBMが得意としてきた情報システム部門ではなく、アプローチが弱かった現場部門が中心となる。それは、マーティン・イェッター社長の大号令のもと、2012年7月に開設した東北、中部、関西、西日本の全国4支社体制による、地方展開強化においても重要なポイントとなっている。
そして、現場部門との直接商談は、これまで日本IBMの営業部門と強いパイプを持っていた情報システム部門に対して配慮しながら、現場部門に対して、バランスよく商談を進められるスキルを営業担当者が持たなくてはならないともいえる。
日本IBMにとってもそれを実践する場が、今回のイベントの隠れた役割であり、それによって、New Blueへの取り組みを強化する考えだ。
関西支社でも、営業担当者が積極的に、新たな顧客層へのアプローチを行なっており、来場者の半数以上が日本IBMのイベントな初めて来場する企業だという。
他社からのリプレースを目指す「WinBack」
もうひとつ新たな顧客獲得として掲げているのが、「WinBack」である。これは他社からのリプレースを目指すもので、ここでも今回のイベントでの新規顧客動員の目的がある。
この「New Blue」と「Win Back」の2つの組み合わせによって、実現するのが「More Blue」ということになる。
経営トップを対象にし、役員に参加を限定しているIBM Innovation Forum 2014は、2012年から、半年に1回のペースで開催しており、今回で4回目。最初は支社開設の「お披露目」といった要素が強かったが、昨年開催した2回のイベントでは、ビッグデータやクラウドといった新たな潮流を経営層に認知させ、経営改革のヒントを提案することが狙いだったといえる。
「4回目となる今回は、具体的な提案を進め、ビジネスへと直結させたい」(日本IBM関西支社の須崎支社長)と案件獲得に意欲をみせる。
同日に3つのイベントを開催する狙いは、新たな商材が揃い、同時にユーザーニーズが変化。日本IBMにとっても、新たな顧客を獲得する大きなチャンスが訪れた絶好のタイミングを迎えたという背景がありそうだ。