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通信キャリアが使えないときは端末間で情報を受け渡して共有

NEC、災害時などで携帯端末間で大規模ネットワークを構築できる技術を開発

2013年12月04日 14時57分更新

文● 行正和義

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災害などで通信キャリアの基地局が動作しない場合でも端末が情報を受け渡すことで情報を共有する

 日本電気は、大規模災害時のような基地局が利用できない状況でも、スマホなどのモバイル端末同士でネットワークを作り、高速な情報配信を可能とする技術を世界で初めて開発した。

 これは通信キャリア側のネットワークが使えない際にスマホ同士が通信しあうことでデータを受け渡し、情報の共有や配信を可能にする技術。総務省の平成24年度一般会計予算において、大規模通信混雑時における通信処理機能のネットワーク化に関する研究開発として委託開発されたもので、同社では東北大学、東京大学などと共同研究を行い、2013年10月より実証実験を行っていた。

マルチキャストされた情報の欠落部分を端末同士で補完する技術と、端末同士の通信タイミングの制御が重要な部分だ

 開発された技術のひとつは、データ欠落のないマルチキャスト配信技術。動画配信ではある程度のデータ欠落は許容されるが、データ配信の場合はマルチキャスト配信に起こりがちなデータ欠落をどう補うかが問題となる。開発された技術では、足りない情報を送信元に再送させるのではなく受信端末同士がデータ欠落を相互に補完しあうしくみを取り入れることにより、大規模配信においても安定したデータを配信できるという。

 もうひとつの技術は、多数の端末が過密した状態では著しく通信速度が定価するが、端末のデータ送信タイミングを自律分散的に数10ミリ秒から数100ミリ秒の間で制御し、パケットの衝突や再送を減らして通信速度を確保する。

多数の端末で相互に勝手にデータを発信しあっていたのでは速度が確保できないため、自律分散的にデータ送信のタイミングを調整する

 また、ネットワーク全体の状況から情報の優先度に応じて各端末の送信タイミングを決定し、警報や応援要請など緊急性の高い情報を優先的に発信・拡散する技術も開発された。

発信端末や配信端末の負荷を減らしつつ効率的なデータを共有するかが要のようだ

 これらの技術を地方自治体における災害情報配信・共有システムなどで社会インフラに応用し、実用化を目指すという。また、この技術は大規模災害時でなくても、多くの人が集まるイベント会場や駅などでも通信集中による通信速度の極端な低下に対応できるという。

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