2014年2月17日より始まった、2013年分の確定申告。業務ソフト「弥生シリーズ」を提供する弥生によれば、記帳・帳簿等の保存制度の対象者が拡大され、新たに約150万人の白色申告の者が記帳・帳簿等の保存が義務付けられることから、例年になく白色申告と青色申告といった確定申告方法に注目が集まっているという。
それでは、青色申告者と白色申告者のイメージと実際のギャップはどうなのか?弥生が2月4に発表した「個人事業者の確定申告に関する調査」と、続く3月7日に発表した「個人事業者の確定申告に関する調査 第2弾」を見てみよう。第1回は、「税務調査と記帳の実態」だ。
1割が税務調査を受けた経験あり。青色申告のほうが白色申告より経験率が高い
確定申告者が気になることのひとつに、行政機関が納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りがあれば是正などを求める「税務調査」。実際にはどの位の確定申告者に対してこの税務調査が実施されているのかを調査したところ、「青色申告」が15%で「白色申告」が7%と、白色申告者は青色申告者の半分未満だった。
いずれの申告方法をとっても、税務調査はおおむね1割程度に実施されている事になる。なお、国税庁の発表では、税務調査を受けるのは、法人4.3%、個人1.4%(平成23年分)とのことだ。
白色申告者の4人に1人は、自宅を仕事場にしていても、家賃や光熱費を経費にできる「家事按分」を行っておらず、うまく節税できていない
税務調査では、帳簿や領収書など確定申告作成の基となるデータが調査の対象となる。中でも、経費、特に自宅で仕事をした場合、使用した分だけ家賃や光熱費を経費として計上できる「家事按分」については、申告者が自分で設定することから、根拠となるデータが必要に。では実際、青色申告者と白色申告者は家事按分をどのように計上しているか。
まず、青色申告者は「別に仕事場がある(家事按分の必要がない)」(23%)、「使用面積で決める」(21%)が1位、2位となった。一方、白色申告者は「自宅を仕事場として兼用しているが、経費計上していない」(28%)が1位に。なお、青色申告の場合でも2割弱が「経費計上していない」という結果となり、家事按分を活用した節税をうまくできていない現状がうかがえるという。
白色申告者は、半数がなんらかの記帳をおこなっているものの、記帳をしていない人も約16%いる
帳簿の付け方について、具体的にどのような方法で記録しているかについて調査をしたところ、青色申告者は「市販のパソコンソフトを利用」(30%)、白色申告者は、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」(31%)、「ノート等に独自の形式で手書き」(25%)が上位となった。
記帳義務のない白色申告者でも半数以上がなんらかの形で帳簿付けをしている一方で、「記録(記帳)をしていない」も15.5%で3番目に多い結果となった。税務調査が入った場合に、帳簿を付けていれば担当者に説明するための材料にできるため、追加で課税されるリスクが少なくなるという。
白色申告者の6割が、平成26年からの記帳義務化を知らない
上記のように、白色申告者の15.5%が「記録(記帳)をしていない」という結果が出たが、2014年から事業所得や不動産所得があるすべての白色申告事業者を対象に、記帳の義務が生じる。記帳の義務化を知らない白色申告者は64%にのぼり、「記帳義務化」の認知は、まだまだ浸透していないのが現状だ。
調査概要
調査機関:株式会社マクロミル
回答者:確定申告実施者(青色、白色)
有効回答数:412サンプル(青色申告/白色申告各206サンプル)
調査期間:2013年12月16-17日
調査手法:インターネット調査
調査内容:税務調査経験、記帳方法、税務申告方法、売上、事業年数、収入 など
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