なぜガムの販売が先進国で落ちているのか?
一方、講演のなかでは、富士通が提供する最新技術を紹介するなかで、音声合成による山本社長の声を再現し、「これが進化すれば、ロボットが私の代わりにスピーチをしてくれて便利だろう」とジョークをとばして会場を湧かしたり、富士通の会津若松の半導体工場で使用しなくなったクリーンルームで、ICTを駆使した野菜づくりを行う「Akisai」に取り組んでいる例を紹介しながら、そこで作った野菜を壇上で実際に食べてみせ、「ICTによって管理された環境で生産するため、カリウムの含有量を減らすことが可能。シャキシャキして、苦みがなく、おいしい野菜だ」などとコメントした。
そのなかで山本社長が触れたのが、ガムの販売量が、先進国において落ち始めているという点だった。
「みなさんは、最近、ガムを噛んだことがありますか」と山本社長は呼びかけ、「いま、日本や米国では、ガムの売れ行きが落ちているといわれる。この背景には、スマホの普及が影響しているという説がある」と切り出した。
その理由についてこう語る。
「ガムの需要には、待ち時間の暇をつぶすという役割があった。だが、その立場を奪ったのがスマホ。この説は正しくないかもしれないが、ここに真理がある」とし、「ここでは、ガムそのものにお金を払っているのではない。ガムがもたらす体験にお金を払っているのが真理である。いまや消費者は、主体性を持ち、多くの選択肢を持っている。そうしたなかで、体験を重視しはじめているのがいまの状況である」と語り、ガムとスマホの相関関係について説明してみせたのだ。
スマホという選択肢が、待ち時間をつぶす用途に使われているとしたら、同様にスマホの影響を受けている商品がほかにもあるといっていいだろう。
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