次期Tegraは「Ersta」
車載用では強力な画像処理で自動運転をアシスト!?
最後に発表されたのは、“モバイル系”プロセッサ」だ。今年1月のCESで次世代TegraプロセッサであるTegra K1が発表されたが、今回は、K1の次世代となるモバイルプロセッサ(Ersta)の存在が発表され、Tegra K1を搭載した車載モジュールJetson TK1も公開された。米国で“モバイル”というと自動車をさす。たとえば「モバイルエレクトロニクス」といえば「カーステレオ」のようなものをいう。
そういう意味では、スマートフォンやタブレット、車載用モジュールには、Tegra系のプロセッサが対応するわけで、NVIDIAの「モバイル」は、幅広いレンジを持つといえる。
まずは既発表(ただしまだ出荷されていない)のTegra K1の後継となるEristaだが、基調講演のプレゼンテーションでは、Maxwellアーキテクチャの搭載が明記されていたものの、それ以上の情報はない。ただ、単精度浮動小数点演算でTegra K1の1.7倍程度の性能向上があるとされている。
さらにTegra K1プロセッサを使った車載用のモジュールJetson TK1もこの基調講演で発表になった。これは、車に搭載してカメラなどによる物体認識などを可能にするモジュールで、危険回避などに利用するためのもの。ステージには、実際にJetson TK1を搭載しているアウディの無人カーが登場した。このプロトタイプは、当初は、後部トランクルームをほとんど占有してしまう大きな制御装置があったのたが、画像認識にGPUが利用できるJetson TK1を利用した車載ユニットを採用することで、トランク側面に格納できるようになったという。
PCのグラフィクスカードだけでなく、GPUの性能をプロフェッショナル向けのグラフィックスやさらには科学技術計算などに利用する「Tesla」のようなシステムを手がけるNVIDIAだが、今年は、車載や画像認識、さらには、これまでGPUとは無関係とされてきた分野への応用のセッションも増えてきた。逆に、グラフィックスのテクニックのようなセッションは少なく、ゲームなどを効率化、高速化するといったものも目立つ。
GPUが持つ演算性能を使うという方向に転換してきたNVIDIAだが、どちらかというと全体的に「ハイエンド」指向であり、逆に新興国向けの低価格スマートフォンなどに対するソリューションはなく、あくまでもハイエンドでビジネスを継続する感じだ。