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山谷剛史の「アジアIT小話」 第69回

中国老舗時計メーカーのスマートウォッチを試す!

2014年03月20日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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子供は満足!?
親が子供に買い与えるケースも多い

5色のラインナップを用意する

5色のラインナップを用意する

 中国人消費者的感覚で言うなら「コストパフォーマンスが高くてグッとくる」というところか。

 さまざまなデザインの腕時計が1機種で楽しめるのがコンセプトのようだが、一方で、ベルトのデザインはイマイチのように思う。

 多機能すぎず、1.5インチモニターで操作するにしても、やはり一般的な腕時計に比べてずんぐりした印象を受ける。もっとデザインがよければ、このコンセプトが生かせたと思う。

 購入感想コメントは、好評だというコメントが多く、中には「子供に使わせてたら、本人が満足している」というコメントもあるのが興味深い。

 オンラインショッピングを利用する親世代は30代で、子供は小学校低学年か、ないしは幼稚園児という組み合わせが多い。

 スマートフォンやタブレットを子供に与える親は珍しくないが、同じようにスマートウォッチを小さな子供に与えている親がいるのかもしれない。MP3再生などの操作は利用せず、ポップな色のベルトなど1台でさまざまなデザインの腕時計に変化をさせるだけでも、子供は気に入るのではなかろうか。

中国では全体的にウェアラブル製品への関心は低め

腕時計メーカーだからか、一般的な中国製デジタル家電と違って分解は若干厄介。それでも修理がしやすいらしい

腕時計メーカーだからか、一般的な中国製デジタル家電と違って分解は若干厄介。それでも修理がしやすいらしい

 ところでスマートウォッチなどの新たなウェアラブル製品だが、実はあまり中国では人気がない。もっとも注目度が高いのはサムスンの「GALAXY Gear」で、その次にソニーの「SmartWatch SW2」、その後に中国メーカー「智器」の「Z Watch」が来るが、それ以外の注目製品がない状況だ。

 そのため注目度ランキングでは、未発売表の「iWatch」や「GALAXY Gear 2」が上位に入るという、他ジャンルでは見られない傾向となっている。

 中国で特定ジャンルのIT製品が人気になるか否かは、中国式人気のバロメーターである「ニセモノ」や「ノンブランド」が作られるか否かもポイント。

 しかしCNNが行なった、中国のデジタル製品製造の拠点「深セン」の巨大市場「華強北」を取材した記事によれば、現地での物流関係者も店舗経営者も、「モノをあまり見たことがなく、ニセモノもない。どうもスマートウォッチ自体に人気がないのではないか」と答えている。

 MP3プレーヤーや携帯電話、タブレットは、安い中国製品が新興国で売られた。新興国の人々には「中国製だから品質は悪い」と評する一方で「汎用部品を使っているので修理が容易」とも評している。

 深センで作られ、販売されることがなければ、中国国内はもちろん、世界で安価なスマートウォッチが流通することはない。

 一方で、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスは、子供へのニーズもあれば、健康志向のニーズもある。必ずしも明るい未来が見えないわけではないので、メーカー各社がスマートウォッチをコンスタントにリリースしていく近未来を期待したい。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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