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「インチキビッグデータ」の見破り方

2014年02月24日 07時00分更新

文● 澁野義一(Giichi Shibuno)/アスキークラウド編集部

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 2012年までのビッグデータ蓄積量は約97億GB、経済効果は製造業・小売業など4分野の合計で年間約7兆7700億円──。2013年に政府が試算したビッグデータの規模だ。

国内ビッグデータ流通量の分野別推移。 出典:総務省

 景気の良い数字に「我が社も!」と導入を検討している企業も多いだろう。だが、ビッグデータとはそもそも何のことだろうか。これが分からなければ、活用も何もない。しかしビッグデータでビジネスをしている企業すら、定義はバラバラなのだ。

 SaaSベンダー関係者は「明確な定義はない」と話す一方、「PB(ペタバイト)級のデータ」という意見や「スマホやスマートセンサーのデータを横につなげたもの」と言うBIソフトベンダーまで百家争鳴の様相。問題が複雑なのは、「ビッグデータ」をそのまま訳せば「大きなデータ」でしかないこと。だが、トランスコスモス・アナリティクス代表取締役の河野洋一社長は「単なる大きなデータとビッグデータは区別すべき」と指摘する。

 例えば、センサーから常時上がってくるデータを統計処理し、機器の故障を予測するような場合も「ビッグデータ活用例」として取り上げられることが多い。「しかし、本来ビッグデータはマルチソース。統計分析では予測できない不測の事態に備えられるものなのです」(河野社長)

 河野社長がビッグデータの特徴として挙げるのは、SNSの書き込みといった非定型なデータだ。「非定型データを上手く使えば、過去の統計からは読み取れない購買行動の因果関係も推測できます。原因が分かれば、次の購買行動の予測も可能です」という。

 つまりビッグデータの正体とは、ありとあらゆる情報を蓄積し、瞬時に検索し、予測モデルを構築し、高い確度で未来を予測できるデータのこと。あるビッグデータ関連技術やサービスが本物かどうかを知るには、ひとことこう尋ねればいい。

その製品で、未来が分かりますか?

 アスキークラウド4月号では「ビッグデータのウソ、ホント」と題し、ビッグデータの射程と展望を明らかにする。

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