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OpenStack Days Tokyo 2014基調講演レポート

OpenStackの開発は“Open Design Model”で行なわれる

2014年02月17日 14時00分更新

文● 渡邉利和

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2月13~14日の2日間に渡り、東京都内でOpenStack Days Tokyo 2014が開催中だ。初日となる13日午前の基調講演には、OpenStackの共同創立者であり、現在はOpenStack FoundationのCOOでもあるマーク・コリア(Mark Collier)氏が登壇した。

ソフトウェアが世界を変える

 コリアー氏の講演は、OpenStackそのものよりも、社会の中でのソフトウェアの位置づけの変化やOpenStackの開発モデルの特徴について丁寧に説明するものだった。

基調講演を行なったマーク・コリア(Mark Collier)氏。Rackspaceの事業開発担当バイスプレジデント(VP of Business Development)だった2010年にOpenStackプロジェクトを共同で開始し、現在はOpenStack FoundationのCOO(Chief Operating Officer)

 まず同氏は、2011年のマーク・アンドリーセン(Marc Andreesen)の発言として“Software is eating the world”という言葉を紹介した。“ソフトウェアが世界を喰らい尽くしつつある”とでも訳せば良いのだろうか。ニュアンスが分かりにくいが、同氏はこの発言を“ソフトウェアが世界の中心的な駆動力となりつつある”といった意味で理解しているようだ。

 その具体例として同氏が紹介したのが、テクノロジー分野以外の企業が新興ソフトウェアベンチャーを買収する例が出てきたというニュースだ。たとえば、農業に携わる企業がソフトウェアエンジニアを獲得する目的でベンチャーを買収する、といったことが起こり始めているのだという。これはつまり、どんな企業/どんなビジネスにおいてもソフトウェアが戦略的な“武器”として地位を確立しつつあるということであり、さらには競争力の源泉となるような“戦略的なソフトウェア”はパッケージとして棚に並べられているようなものではなく、ユーザー企業自身が持つ独自のノウハウや知見をシステム化することで作り出されるソフトウェアが競争優位性を担保することになるということである。これは「ベストプラクティスを実装したパッケージソフトウェア」を使っても他社と同じ土俵に上がることができるだけで、他社より優位に立つことはできないということであり、パッケージソフトウェアの時代が終わりつつあることを感じさせる。こうした変化を前提とすると、ソフトウェアの開発モデルも変わらざるを得ない。これまでのようにソフトウェアのユーザーと開発者が明確に分離した形ではなく、ユーザーと開発者の境界が曖昧になっていく。

 なお、コリアー氏は“開発者(デベロッパー)”ではなく“生産者(プロデューサー)”と表現していたが、「ユーザーとプロデューサーの区別がなくなっていく」ことが想定される。もちろん、これはユーザーが全てソフトウェア開発を自力で行なうということのみを意味するものではない。先の農業分野の企業がソフトウェアベンチャーを買収したのはまさに自力でソフトウェアを開発するという発想だろうが、同氏は「ユーザーが開発者を雇って作らせる」といった例も挙げている。

Open Design Modelの開発モデルとは?

 OpenStackは、元々はRackableとNASAの共同プロジェクトとしてスタートした。まさに、ユーザーの立場にあった企業/団体が開始した取り組みである。現在でもOpenStackではユーザーの声を聞いて仕様を決定し、実装していくという形が守られているとのことで、こうした開発モデルを同氏は“Open Design Model(オープンデザインモデル)”と呼んでいる。オープンソースは開発者視点でソースコードをオープンにするという取り組みだったが、オープンデザインはソフトウェアの仕様策定プロセスをオープンにし、この段階からユーザーが積極的に関与するというモデルである。

 歴史を遡れば、コンピュータの黎明期、メインフレーム時代にはソフトウェアは基本的には特定のユーザーのためにワンオフで作成されるのが当たり前だった。当然、開発コストを丸ごとユーザーが負担するとなると金額的に極めて高価になってしまうので、開発コストを多数のユーザーでシェアする形の「パッケージソフトウェア」が主流になっていったわけだ。同氏の言う「戦略的なソフトウェア」はこうした流れには逆行する形だが、これが可能になったのはオープンソース開発モデルの普及/成熟や、ソフトウェア開発環境の進化によってソフトウェアの開発コストが劇的に低下しつつあることが、こうした取り組みを可能にしているのだろう。

 同氏は、「そもそもOpenStackとは何か」ということについてはあえて触れることはなかったが、OpenStackについてある程度知っている人であれば、同種のソフトウェアがほぼ同時期に複数出現した中で、OpenStackが多数のユーザーやIT企業の支持を集め、急速に存在感を高めた理由が同氏の指摘したユーザー主体で進む開発モデルにあったということが理解できたのではないだろうか。

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