今回のことば
「PC事業をどうするかを考えた結果、スマホとタブレットに集中していくことがいいと考えた」(ソニー・平井一夫社長)
ソニーが、PC事業の売却を決定した。投資ファンドの日本産業パートナーズと、2014年3月末までに正式契約し、7月1日を目処にPC事業を譲渡する。日本産業パートナーズは新会社を設立し、VAIOブランドとともにPC事業を引き継ぐことになる。
これにより、ソニーはPC事業を収束。ソニーブランドのVAIOとしては、2014年春モデルが最後になる。
ソニーはなぜPC事業を売却することになったのか。
事業の黒字化にメド立たず
ひとつは、PC事業の黒字化にめどが立たないことだ。
ソニーは、2010年度に、過去最高となる870万台の年間出荷規を達成。このときには黒字化していた。だが、2011年度には年間1000万台の出荷を目指す成長戦略を掲げたものの、タイの洪水影響や円高などの影響を受けて、年間840万台止まり。低価格モデルが中心となったことあり、大幅な減収減益に見舞われた。また、2012年度の年間実績は760万台、2013年度年間見通しは580万台となり、その後もPC事業は事業が縮小しながら、赤字体質へと転落した。一方で、PC事業部門には1100人の従業員がおり、「事業規模からみれば、他の事業に比べて、人員は過剰気味」(ソニー関係者)という状態にあった。これもPC事業の業績回復を遅らせ、今後の黒字化にめどが立たない原因にもなった。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ