富士通は1月24日、東大宇宙線研究所においてPCクラスタシステムを中核とした新計算機システムを構築し、同システムが1月1日より稼働を開始したことを発表した。
宇宙線研究所では、地球に降り注ぐ各種電磁波・素粒子のデータを解析し、宇宙における各種の現象や宇宙構造、物質の成り立ちなどさまざまな研究を行っている。新たに重力波の観測を目指すKAGURAプロジェクト(大型低温重力波望遠鏡)や、宇宙の超高エネルギー現象の解明を目指す国際宇宙ガンマ線天文台CTAなどの実験プロジェクトが推進されており、観測データの蓄積量、解析量が大幅に増えることが想定され、新計算機システムは演算能力とデータ蓄積の双方が求められていた。
新計算機システムは、PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX250 S2」136台を用いたPCクラスタシステムによる計算サーバと、ストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX80 S2」33台で構成。さらにスケーラブルファイルシステムソフトウェア「FEFS」を用いて高速分散ファイルシステムを構築している。演算整数演算性能はベンチマークSPECint_rate2006で96,426となり従来のシステムの約10倍を達成、ストレージ容量は、従来比約3.2倍となる4.4PB(ペタバイト)、データ転送速度は従来比約30倍の18GB/s以上と、いずれも大幅に向上している。
また、450名のユーザーのログイン環境となるサーバとして「FUJITSU Server PRIMERGY RX200 S8」12台、ネットワークストレージとして容量22TBの「FUJITSU Storage ETERNUS NR1000 F3220」、メールやウェブといったネットワークサービス用にPCサーバ15台などが導入されている。
これらのシステムにより、宇宙粒子線生成の謎やニュートリノの性質、未知の素粒子探査といった宇宙・素粒子物理研究が進められるほか、重力波検出を通して一般相対性理論の検証や宇宙の進化の謎に迫ることが期待されている。