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もう音楽は買わない!?「所有」から「利用」への大激震

2014年01月24日 16時05分更新

澁野義一(Giichi Shibuno)/アスキークラウド編集部

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音楽業界に押し寄せるクラウドの波は、あらゆる業界に同様の変革が促される可能性を示唆している。生き残りのヒントは、クラウド企業の成功法則に隠されている。

 2013年、米国でのデジタル音源の販売曲数が減少に転じた。2003年にアップルがiTunesを開始し、デジタル音源の販売を始めて以来、初の減少という。

 米ニールセン・サウンドスキャンの調査によると、デジタル楽曲は前年度比5.7%減の1億2600万曲、デジタルアルバムも同0.1%減の1176億枚に下落。米ビルボードは、有料ないし広告型ストリーミングサービスの台頭を原因のひとつに挙げている。

 同サービスの代表格は2008年にスタートした「Spotify」だが、ここ数年は新規参入が相次いでいる。特に目立つのがクラウド企業の存在だ。

「Spotify」の日本展開は、まだ準備中だ。

 2012年にはアマゾン「Amazon Cloud Player」とマイクロソフト「Xbox Music」が提供開始。2013年にはグーグルの定額制の聴き放題サービス「Google Play Music All Access」とアップルの広告型ストリーミングサービス「iTunes Radio」がスタートしている。

 つまり音楽は「購入して手元で所有する」スタイルから、「クラウド上のデータを利用する」スタイルへと変わってきている。そしてこの状況は、アマゾンの「Amazon Web Service」などのクラウドコンピューティングの普及で変化を迫られた、Sierのインフラ構築ビジネスとまったく同じだ。

 Sierが企業向けITインフラを構築する際は、ソフトウエアとハードウエアを組み合わせたソリューションとして販売してきた。ところがクラウド化でITインフラを「所有」せずに「利用」できるようになり、従来の手法が通用しなくなったのだ。大手ITベンダー幹部は「サーバーが売れなくなると、ソフトも売れなくなる。実際、対前年度比で何十パーセントも売上げは落ちている」と明かした。

 IT業界が被った変革の波が音楽業界に押し寄せているように、ありとあらゆる業界がクラウドやクラウド企業による影響を受ける可能性がある。Youtubeで4K映像が配信されるかたわら米国最大手レンタルビデオチェーン・ブロックバスターが全店舗の閉鎖を決定し、ECサイトの値付けに対抗しようと販売価格を引き下げたヤマダ電機は2013年4~9月期決算で上場以来初の赤字に転落している。もはや対岸の火事ではない。

 では、クラウド化する世界で生き残るには、どうすればいいか。孫子の「兵法」を思い出そう。「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」だ。まずはクラウド企業の思考法を理解し、その発想を自分のビジネスに活かせないか考えること。彼らの成功法則にこそ、ヒントが隠されている。

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