米エネルギー省のパシフィック・ノースウェスト国立研究所は12月17日(米時間)、藻類バイオマス燃料に関する最新の研究成果を発表した。燃料化プロセスでは1時間以内に藻を粗製原油相当の燃料油に変換できるという。
同プロセスでは、藻類をスラリー(懸濁液)状態のまま触媒を通しながら約3000psi(約200気圧)で350度に加熱、組織や生体高分子を分解する。さらに化学処理を加えて粗製原油にあたる液体が得られ、原油と同様に精製されて各種燃料に変換される。燃料油では研究室ベースで毎時1.5l程度で生産できており、処理プロセスは商業生産にとって必要な連続工程としても応用可能という。
藻類に含まれる炭素の平均50%(最大70%)は原油のエネルギーとして変換でき、天然ガスに相当する可燃性ガスも得られる。処理の際にはリン、窒素、カリウムなどの成分は分離され、さらに水も回収されて次の藻類の培養に利用できるという。藻類バイオマス燃料の場合、藻類の育成のための大量の水に加えてリン、窒素、カリウムなどの栄養素を必要とするため、下水処理などと併設しないと商業化は困難と言われているだけに重要な点だろう。
藻類バイオマスは次世代バイオマス燃料のひとつとして重要視されているが、燃料精製化コストがネックとなっている。同研究所によると、高温・高圧を使うのがこの技術の難点で量産プラントの構築は容易でないものの、脱水といった処理をすることなく藻類をスラリーのままポンプで運搬、変換するという処理は藻類バイオマス燃料化技術としては既存のものよりも高い燃料転化効率を持ち経済性に優れているとしている。