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「藻から石油」にまた一歩近づいた

東京農工大、オイル高蓄積珪藻のゲノムを世界で初めて全解読に成功

2015年02月02日 17時39分更新

文● 行正和義

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珪藻 Fistulifera solaris JPCC DA0580株のオイル蓄積過程の顕微鏡画像(緑の蛍光がオイル) 

 東京農工大学は1月30日、オイルを高蓄積する海洋珪藻「Fistulifera solaris」の全ゲノムを解読し、オイル合成の代謝経路を明らかにしたと発表した。

 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の支援により東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門およびフランスの高等教育機関École Normale Supérieure、産業技術総合研究所・ゲノム情報研究センター、および電源開発の研究グループが行った研究。

 ゲノムを解読したのは研究グループが保有する海洋微細藻類カルチャーコレクションの中から、最大のオイル蓄積性を示す微細藻類「Fistulifera solaris JPCC DA0580株」。多くのオイル蓄積微細藻類は、細胞増殖が終了した後にオイル蓄積を行うのに対し、F.solarisは細胞増殖しながら迅速に大量のオイルを蓄積するため世界トップレベルのオイル生産性を持つという。

今回解析された Fistulifera solaris JPCC DA0580株のゲノム構造の模式図

 ゲノム解読の結果、微細藻類としては初めて異質倍数体ゲノムを持つことを発見した。このため解読は困難であったものの、最終的に42対の染色体、約2万個の遺伝子を持つことを明らかにした。さらにオイル合成に関与する重要な遺伝子を多数特定し、それらが活性化するパターンを解析したところ、F.solarisはオイルを蓄積しながら同時にその一部を分解して細胞増殖のためのエネルギーを得ている可能性を突き止めたという。

 今後、さらなる解析に加えて得られたゲノム情報を元に遺伝子組み換え微生物を作出、効率的なバイオ燃料生産の実現が期待できるという。

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