自作NASはおトクなのか?
本特集の最後に、NASの自作ケースについても検証してみたい。
USB接続の外付けHDDと同様、NASにも「ガワ」のみの製品が存在する。ガワ、つまり製品として完結しているNASから内蔵HDDを除いた「NASケース」というべきものだ。
NASケースにHDDさえ組み込んでしまえば、完成品の市販NASと同等の性能を発揮するのは確かだ。ただ、それって組み立ての手間をかけるだけおトクなのだろうか? 自宅にHDDが余っていればいいのかもしれないが、そういう人はそうそういないだろう。改めてNASケース+HDDを購入するとなると、そのコストはどうなるのか?
今回使うNASケースは、センチュリー「シンプルNAS BOX PLUS+」(CSS35NASP、直販価格7980円)と同「シンプルNAS BOX PLUS 2BAY」(CSS35NAS2B、同1万2800円)だ。それに2TBのHDDを組み込むことを想定してシミュレーションしてみよう。
シンプルNAS BOX PLUS+は最大3TBのHDDに対応するNASケース。USB 3.0ポートも搭載し、外付けHDDとして使うことも可能だ。外出先のPCからアクセスできる「Webアクセス」機能を搭載しており、スマホやタブレットからもアクセスできる専用アプリが無償配布されている。
シンプルNAS BOX PLUS 2BAYは最大4TBのHDDを2基内蔵できるNASケース。RAID機能(RAID 0/1)を搭載しており、用途に合わせたRAID構成をユーザーが選択できる。
NAS BOX PLUS+と同様にUSB 3.0ポートを内蔵しているので外付けUSB HDDとしても利用可能。また、Webアクセス機能により外出先からのアクセスにも対応する。
NASケースはセンチュリーの直販サイトから購入することとして、HDDも同様に通販サイトから購入することにしよう。
執筆時点で、2TBの内蔵HDDでもっとも売れ筋なのはウェスタンデジタルの「WD20EZRX」。通販サイトでの価格差は結構大きく7500円前後~8500円前途となっている。この中からなるべく低価格で送料無料の某店を選ぶと、1台あたり7480円で購入できるようだ。
これらのことから、シンプルNAS BOX PLUS+とWD20EZRXの購入価格は1万5460円となり、シンプルNAS BOX PLUS 2BAYとWD20EZRX(×2基)の価格は2万7760円となる。
この完成品と機能的に近い製品を、バッファロー、アイ・オー・データ機器のNAS製品から見繕うと以下のようになる。
同等のNAS製品の価格はこのようになった。いずれのモデルでも、NASケース+HDDの組み合わせのほうが低価格で収まることがわかる。
特に2ドライブ、RAID対応NASの場合は価格差が大きい。今回紹介したセンチュリー製品はLAN外からのアクセスにも対応しているので、スマホやタブレットでの利用も問題ない。
一方で、比較対象となったバッファローとアイ・オー・データ機器のNASは両機とも標準機能に加えてDTCP-IP機能を搭載しているのでメディア機能が強めになっている。開いた価格差はそこにあるようだ。
「余計な機能はいらない。従来のようにPCのファイルサーバーとしてのみ使う!」というのであれば、低価格で収められるNASケース+HDDの組み合わせを検討してもいいだろう。
ただし、PC以外のデバイス――具体的にはデジタルレコーダー、テレビなどのファイル共有も考慮するなら、多少高くても完成されたNAS製品を購入すべきだろう。
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