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スマホやPCから便利に使える最新ネットワークストレージ 第3回

スマホで活用する「Wi-Fiモバイルストレージ」のススメ

2013年10月10日 12時00分更新

文● 二瓶 朗

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 前回まではいわゆる「普通のNAS」を紹介してきたが、それとは別に、ここ最近、スマートフォンやタブレットなどWi-Fi搭載デバイスをワイヤレスで接続してNASのように使用できる、新機軸のネットワークストレージ製品が多数登場している。

 提供するメーカーによって「Wi-Fiモバイルストレージ」「ワイヤレスポータブルストレージ」などといった呼称があるが、ここではそれらの製品の呼称を「Wi-Fiモバイルストレージ」とさせていただき、それらがどういった性能を持ち、使い勝手であるかを解説していく。

Wi-Fiモバイルストレージって便利なの!?

もともとは日立マクセルの「AirStash MAS-A02」が代表的な存在だったが、昨年春の発売以降、後継機種が出ていない

もともとは日立マクセルの「AirStash MAS-A02」が代表的な存在だったが、昨年春の発売以降、後継機種が出ていない

 Wi-Fiモバイルストレージは、持ち歩くことを想定した小型・軽量の外付けストレージ機器である。

 内部記憶装置としてHDDやSSDなどを採用している製品もあるが、SDメモリーカードやUSBメモリーなどを記憶媒体として利用するWi-Fiモバイルストレージ製品も多い。

 最大の特徴は、Wi-Fi機能を標準搭載しているということ。ワイヤレスで周辺機器と接続できるため、使いどころを選ばないのはもちろんだが、スマホやタブレットといった、周辺機器を接続するのが難しいデバイスでも外付けストレージを利用できるようになる。

 スマホやタブレットからWi-Fiモバイルストレージを利用する場合は、まずスマホやタブレットのWi-Fi接続先としてそのWi-Fiモバイルストレージを選択。そのあとで専用アプリを起動してファイルを読み込んだりバックアップしたりという操作を行なうのが一般的だ。

 PCからはUSBで有線接続するか、無線LANでアクセスして共有フォルダーをシェアするのが普通。Wi-Fi機能といえば、搭載されているEthernetポートに有線LANを接続することで、Wi-Fiアクセスポイントとして利用できる製品も多い。

 さらに、持ち運び利用を前提としているので、バッテリーを内蔵して電源に接続せずに利用できるのが基本。駆動時間もそれなりに長いうえ、内蔵バッテリーからスマホやタブレットなどに電力を供給する「モバイルバッテリー」として転用できる製品も少なくない。

 それでは、そんな多彩な機能を搭載するWi-Fiモバイルストレージ製品をいくつかピックアップして紹介していこう。

「Xperia Z1」と一緒に持ち歩きたい
ソニー「ポータブルワイヤレスサーバー」

3色のカラーラインナップをそろえるソニー「ポータブルワイヤレスサーバー」

3色のカラーラインナップをそろえるソニー「ポータブルワイヤレスサーバー」

 ソニーから10月25日に発売される予定の「ポータブルワイヤレスサーバー WG-C20」(予想実売価格1万円前後)は薄さ9mmのWi-Fiモバイルストレージだ。

 本体カラーがホワイト、ブラック、パープルの3色展開だが、これはグローバルで発表されている「Xperia Z1」のカラバリを意識したものだ。

 本体には記憶装置は搭載しておらず、SDメモリーカードスロットとUSB端子を搭載。SDメモリーカードまたはUSBメモリーなどを記録媒体として使用する。

「nasne」(左上)で録画した番組をポータブルワイヤレスサーバー「WG-C20」(右)に書き出し、Xperia(中央)で視聴できる

「nasne」(左上)で録画した番組をポータブルワイヤレスサーバー「WG-C20」(右)に書き出し、Xperia(中央)で視聴できる

 USBからは最大1.5Aの給電が可能となっている。また、SDメモリーカードは「SeeQVault」(下記コラム参照)対応をうたっており、「nasne」に録画した番組をフルHD解像度で「ワイヤレスおでかけ転送」できる仕様になっている。

 このほか、NFCにも対応しているため、対応スマホならかざすだけで無線接続設定が完了する。

これから注目される!? 「SeeQVault」って何?

東芝が発表したmicroSDカード。この「SeeQVault」って何?

東芝が発表したmicroSDカード。この「SeeQVault」って何?

 「SeeQVault」はパナソニック、サムスン電子、ソニー、東芝の4社が主導するコンテンツ保護規格で、おそらく今後注目が集まる技術だ。

 簡単に言うと著作権保護されたコンテンツ(動画や音楽など)をメモリーカードやポータブルHDDに書き出すための技術で、東芝とソニーが対応するmicroSDカードを発表している。

 過去を振り返ると「SD-Video」や「SD-Audio」と呼ばれるSDメモリーカード用の著作権保護規格があったが、SeeQVaultはちょっと違う。

CEATEC 2013ではSeeQVaultのブースが展開していた。こちらは対応メディアのイメージ。ポータブルHDDやポータブルでないHDD、microSDカード、USBフラッシュメモリーなどさまざまなメディアが使える

CEATEC 2013ではSeeQVaultのブースが展開していた。こちらは対応メディアのイメージ。ポータブルHDDやポータブルでないHDD、microSDカード、USBフラッシュメモリーなどさまざまなメディアが使える

 何が違うかというと、SDメモリーカードに限定されず、USB HDDにも適用できること。現在、テレビにUSB HDDを接続して録画できる機種が増えているが、録画した番組は基本的に録画したテレビでしか見ることができない。しかしSeeQVaultなら録画したHDDを別のテレビに接続して再生する、ということもできる。

 もちろん、SeeQVaultはDTCPの管理運営を行なうDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)やDpa(デジタル放送推進協会)から記録メディア方式として認可されているため、デジタル放送の録画番組の運用が可能だ。

Windows Media Centerのアドオンとして動いているSeeQVault書き出しアプリ。AVCマルチメディアソフトがCEATEC 2013で参考展示したもので、製品化の予定などは未定

Windows Media Centerのアドオンとして動いているSeeQVault書き出しアプリ。AVCマルチメディアソフトがCEATEC 2013で参考展示したもので、製品化の予定などは未定

 SeeQVaultを利用するためには、対応するメディアと対応する機器が必要だ。ただし、機器についてはPCやスマートフォン/タブレットといったデバイスならアプリケーションが対応していればOKとのこと。

 さらに既存の機器をSeeQVault対応にバージョンアップすることも可能とのことで、すでに手持ちの機器で使用できる可能性もある。

 NASで運用が始まっている「DTCP+」もしかり、このSeeQVaultでデジタル放送の外出先での視聴がより便利にできる時代が到来しつつあるようだ。

 

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