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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第26回

米西海岸で日本のポップカルチャーの祭典「J-POP Summit Festival 2013」

2013年08月11日 15時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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日本文化の伝え方のヒントは?

 「kawaii」を中心としたJ-POP Summitの様子を見ると、集まることができる場所があるというのは強いと感じさせられます。拠点となるNew Peopleがその役割を果たしているように思いました。いや、サンフランシスコにはジャパンタウンがあるじゃないか、集まれるのではないかと思われるかもしれませんが、実際は少し違っています。

 サンフランシスコ周辺で暮らしている私自身、実際にはジャパンタウンに足繁く通おうとは思いません。日本の書籍を扱う紀伊國屋書店には、どうしても必要な本や雑誌を探しに行ったりしますが、和食のお店もあまり魅力を感じませんし、日本人以外の人たちにとっても、日本に向けられる興味をさほど集められているようには見えません。

 一方で、ファッションについては、コンテストの開催においても、西海岸の人たちが思い思いに日本の「kawaii」を解釈しながら楽しんでいる様子に出会うことができました。単なる場所に加えて、何らかのスタイルや流儀を共有することも大切ではないかと思います。

New People内にある原宿系ファッションなどのアイテムが手に入るショップはファンで賑わっており、人が目的を持って集まれる拠点になっている

 以前の記事(関連記事)でご紹介した、サンフランシスコ周辺のコーヒー文化をまとめた書籍「サードウェーブ!」。このKindle本を書くきっかけの1つになったのは、サンフランシスコのカフェで自然に使われている日本のコーヒー器具を目の当たりにしたことでした。

 わずか5年足らずでカフェの店員たちに「使うのが当たり前」と言わせるほど日本のコーヒー器具は浸透したのですが、伝わったのは器具だけでありません。日本の喫茶店のように1杯ずつていねいにコーヒーを淹れるホスピタリティーもです。今までとは違う有形のモノや場所から無形のモノを浸透させるというプロセスを意識していくことが大切ではないかと思いました。

ユニオンスクエアのライブに詰めかけたオーディエンス。彼らの興味を、インターネットやSNSを使いながら集めることと、どんな文化や体験を伝えるかという設計をしながら、生活の中に取り込める文化として、日本の競争力を高められるのではないだろうか


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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