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山谷剛史の「アジアIT小話」 第52回

黒歴史だった中華プレーヤーがオンライン対応で華開いた?

2013年07月25日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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売れずにフェードアウトしていった「CBHD」

売れずにフェードアウトしていった中国独自ディスク「CBHD」

どんどん消えていった中国独自の光メディア規格

 中国産のコンテンツプレーヤーは、名もなきブランドによる有象無象のニセモノか、保証があって少しは安心のメーカー製か、はたまた誰も注目しない“黒歴史”しかなかった。

 黒歴史とは、’00年代前半に見られた中国独自技術が入った製品で、たとえばCDと同容量のディスクにMPEG-2ファイルを入れた「SVCD(SuperVideoCD、または超級VCD)」や、DVDの容量にフルHD動画を入れた「EVD(Enhanced Versatile Disk)」、HD DVDに中国独自の音声コーデック「AVS(Audio Video coding Standard)」を入れた「CBHD」がある。

 さらにはEVDリリース前夜はEVDと争って「HVD(High-definition Versatile Disc)」「HDV(High Definition Video) 」という規格が登場し、それから大分時間が経過しBlu-rayが採用したブルーレーザーダイオードでなく、レッドレーザーダイオードを利用した「NVD(Next-generationVersatileDisc)」が登場。台湾では「FVD (Forward Versatile Disc) 」という規格も登場した。

 いずれも今後規格製品を普及させることにより、知財で食っていこうという中国と、政府から評価されようとする技術者の思惑が大きく絡んでおり、消費者はないがしろだった。

 それぞれの旗振り役のメーカーは一応フラッグシップモデルとして、DVDプレーヤーを出しつつ、独自規格のプレーヤーを出した。

 EVDとCBHDの双方の旗振り役をしたプレーヤーメーカー「新科(Shinco)」はメーカーとしてそこそこの規模だから、蘇寧電器などの大手家電量販店で販売することができ、関心のある消費者はその存在を店頭で確認することができた。

 しかし、それ以外の規格の製品に関してはリアルショップの店頭はおろか、オンラインショッピングサイトでも見ることがなく、「新規格発表というニュースを出した」という結果だけ残して消えていった。本体が数機種発売されようが、未発売のままだろうが、いずれも黒歴史であることには変わりない。

フェードアウトの原因はソフト不足

 筆者はEVDとCBHDを買ったが、その中には専用のタイトル(ディスク)が25タイトル前後あり、とりあえず当初だけは飽きないようにはなっていた。

 EVDはソフト単体では発売されず、その後のCBHDでは本体が発売された2009年から翌2010年までワーナーブラザーズの映画が細々とリリースされた。当時、確か1タイトル500~600円程度であり、高くはなかったと記憶しているが、本体所有者が少ない上に無料(海賊版)コンテンツに慣れきっていることもあり、まるで人気が出なかった。

 専用コンテンツを一緒に発売しないとユーザーは買ってくれない上に、海賊版対策が講じられたことで、逆に海賊版タイトルが出なかったため、タイトルの少なさから関心が集まることはなかった。

 また、中国人的ビジネスではありがちの変わり身の早さ・飽きっぽさから、これら新規格はフェードアウトされ、中国IT業界における黒歴史の一角を担った。

 アジアの他の国々でこのような「独自規格プレーヤーで母国を制し世界に出る」という動きはなく、中国で見られる特殊な動きである。アジア各国の人々が口を揃えて言うのは「中国製品はいまだ充分に安く、我々の国では同じようなモノ作りはできない」という言葉で、今のところ中国の台頭にすっかりモチベーションを落としている状況だ。アジア各国がこれから成長する過程でこのような変わった製品はおそらく出ないだろう。

 ところが、最近1年で中国独自のプレーヤーの状況が激変する。

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