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タブレット出荷台数は倍増、PC売上げ20%減

2013年05月29日 07時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 電子技術産業協会の調査によると、民生用電子機器の出荷額が前年に比べて23.1%減少した。薄型テレビなどの映像機器が31.7%減っているのが主なマイナス要因だが、PCの出荷台数減も著しい。IDCジャパンの調査では、2013年1~3月の国内PC出荷台数は前年に比べて4.6%減少。法人向けは好調なものの、個人向けは20%ものマイナスだ。米ヒューレッド・パッカード社の2013年第2四半期(2~4月期)決算によると、PCの売上高は20%減少しており、同社の経営再建の深刻さが伺える。

 国内PCメーカー、NECパーソナルコンピュータはPCビジネスに依存したビジネスモデルを展開しており、個人向けのPCに対して月額制の保証サービスを開始。1年間の保証が切れたあとに月額315円払えば延長保証や追加サービスが受けられるというものだ。新規の顧客増が見込めない市場を想定しての動きとも考えられる。

  PC不況とは対照的に、国内のタブレット市場は好調だ。MM総研の調べによると、2012年のタブレット出荷台数は前年比約2倍の568万台に伸びた。

Tablet

レノボのタブレットは、PC依存から好転を狙う

 レノボ・グループは、PC事業を縮小して、スマートフォンとタブレットでシェアトップを目指すことを表明している。楊 元慶CEOは「2年以内に世界シェアを獲得する」と目標を掲げる。また日本ヒューレッド・パッカードは、LTEに対応したタブレットを法人向けに発表し、15%以上の国内シェアの獲得を目指している。

 一方で、タブレット部品などに活路を見出している企業も現れた。住友化学は、スマートフォンやタブレットの部品開発に向けた研究組織「TSP研究開発室」を開設。曲げられるタッチパネルのディスプレーを開発し、年末から本格的な生産を開始するという。

 ベンチャー企業のFUKは、この秋から独自開発したタッチパネル張り合わせ装置を販売。同社の装置は3000万円前後と販売価格が安いうえ、作業時間も短く気泡が入りにくいという利点が売りだ。

 ユーザーのPC離れは止まらない。PCメーカーはスマートフォンやタブレットといったデバイスに転換するのか、それともPCを第一に選択して新たなビジネスモデルを模索するのか、選択が迫られている。


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