気になる音質は?
シュアは「SE846は革新的なローパスフィルター、マルチドライバー、交換式ノズル、プレミアムなデザインなど、1997年発売のE1 Earphone以来培ってきた、知識とノウハウを詰め込んだ製品だ」とする。耳にピッタリと装着できる小さなハウジングでありながら、サブウーファーのように良質な低音が得られると同時に、低域の成分が中高域に干渉することによる悪影響を極限まで排除した設計だ。
「胸が震え、目の玉がころころ転がるような低域」(プロダクト・マネージャーのショーン・サリバン氏)
発表会場にはSE846の試聴機が用意され、実際に音質を体験することができた。iPhone 5からUSB接続で、FOSTEX製のポータブルアンプにHP-P1につなぎいくつかの曲を聴いてみたが、驚くほど太く量感のある低域を感じる。しかし不明瞭さはなく、明晰で克明な描写でもある。ただしこの組み合わせで、打ち込み系のポップスを聴くと、標準のバランスフィルターでもパワーバランスが低域よりで、高域の抜けに少々物足りなさも感じた。ソースあるいはアンプとの組み合わせの問題という可能性もあるが、低域のひずみ感が強調されているようにも感じた。
高域が伸びるブライトフィルターでも聴いたが、緻密な描写感と実在感が増した印象で、繊細さや解像感といったBAらしい特徴を感じるにはこちらという印象だった。
なお、シュアのイヤフォンは、これまで「SE535」が最上位だった。3ウェイでケーブル交換が可能ということで、型番末尾の数字を5に設定していたが、SE846ではさらにノズルフィルターの交換も可能ということで、型番末尾の数字を6に上げている。さらに500シリーズを大きく上回る高音質という意味をこめて、800番台の新型番を採用したという。
また長短2本のケーブルを用意する点や、ケースを装着したiPhoneでもきっちり差せるようプラグ形状を調整するなど、使い勝手も配慮している。高額だが今後のハイエンドイヤフォンの評価軸のひとつとして、重要な1台になりそうな予感がある。