このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第136回

自分が死んだときにSNSやHDDのデータを処分するワザ

2013年04月17日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アカウント情報を託せるような人が思いつかない場合

 家族や親友にさえ見られたくないアカウントを自動削除して欲しいなら、プロに頼むしかない。行政書士などに「死後事務委任契約」を依頼し、SNSアカウントの削除などを代行してもらうのだ。本来は、退職手続きや葬儀に関する事務を行なってもらうものだが、先方が可能であればIT関係の処理をお願いすることもできる。ある行政書士事務所では、1アカウントごとに2万5000円で引き受けてくれる。契約書の作成や事務費としてそのほかに5万円ほどかかる。当たり前だが、費用は預託金として前払いしておく必要がある。

SNSやメールアカウントの削除を請け負ってくれる行政書士事務所もある。まずは相談してみよう

 数アカウントの処理で10万円を超えてしまうとなると、高く感じるかもしれない。さらに、ウェブサービスのパスワードは定期的に変更するのが基本で、そのたびに報告するのは手間がかかる。パスワードの更新漏れがあれば、アカウントは削除できない。ウェブサービスごとに死亡を証明してアカウントを処理する場合は、とうていこの金額では済まなくなる。

 そこでオススメなのは、通常処理するアカウントと絶対に見られたくないアカウントを分けること。全世界に公開しているFacebookやTwitter、ブログなどは家族に処理をまかせても問題ないだろう。一方、絶対に見られたくないブログやTumblr、クラウドストレージなどは、自分との関連を切っておけばいい。登録アドレスやID、パスワードなどを個別に設定し、完全匿名で運用すればいいのだ。そうすれば、死後にばれることはなくなる。ネット上にデータは残るが、それこそ気にする必要はないだろう。

秘密のサイトは個人情報と切り離して運用する

 規約や日々変わるインターフェース、パスワードの変更などが原因で、外部サービスがアカウントの消去代行を行なうことは難しいだろう。そこで、すべてのウェブサービスは、一定期間アクセスがないときに、アカウントが自動削除される機能を追加するべきだ。もちろんユーザーが明示的に設定したときのみ有効になればいい。とはいえ、この機能を追加するとみんなが利用して、アカウント数の増加率が減ることは間違いない。表向きの数字を盛りたがっているサービスとしては採用しにくいかもしれない。それでも、安心してネットを利用するためにはぜひ欲しいところ。Googleの「InactiveAccountManager」が大ブレイクして、ほかのサービスも追随することを期待したい。

自分が死んだ後にPCのHDDデータを消去する

 PCに保存してあるローカルデータを消去したいというニーズも高いだろう。その場合は、定番フリーソフト「僕が死んだら...」や「誉 - 名を惜しめ、恥を知るものは強し -」を利用しよう。どちらも数年前のソフトで、動作環境としてはWindows XPもしくはVistaまでしか対応していない。とはいえ、Windows 7/8でも問題なく動作する。

 「誉 - 名を惜しめ、恥を知るものは強し -」は、指定日数以上PCが起動しなかった場合、次回起動時に指定ファイルを削除してくれるソフト。一番ニーズがありそうなのだが、フォルダーを登録できないのがネック。複数ファイルやフォルダーを暗号化して1つのファイルにするなどの工夫が必要だ。

 「僕が死んだら...」はデスクトップに「僕が死んだら」というショートカットを作成するソフト。このショートカットを実行すると、あらかじめ用意したメッセージを表示する。同時に、バックグラウンドで指定したファイルやフォルダを削除してくれるのだ。さらに上書き処理を行なうため、通常の方法ではデータを復旧させることはできない。

 どちらも、数年前に開発が止まっているのが残念なところ。両者の機能を統合したWindows 8用ソフトが登場すれば、大ブレイクすることは確実なのだが……。

「誉 - 名を惜しめ、恥を知るものは強し -」を起動し、削除するファイルや実行までの日数を指定する

「僕が死んだら...」を起動し、削除したいフォルダーやファイルをドラッグ&ドロップで登録する

削除の検証を行なう。問題ないようであれば、「生成」をクリックする

デスクトップにショートカットが保存される

ショートカットを実行すると、ダミーのメッセージが表示され、バックグラウンドで指定ファイルやフォルダーが削除される

 万一の時が心配になったら、対処するいいタイミングだ。アカウントやデータを整理するきっかけにもなる。マイデータは死んだ後のことまで考えて管理することをオススメする。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン