やっぱり気になる、ARROWS Xの
バッテリー持ちはどうなの!?
スマートフォンを使うにあたって、やっぱり気になるのは「バッテリーはどれくらい持つのか?」ってことでしょう。昨年の夏スマホである「ARROWS X F-10D」は、かなり売れ行きの良かった機種なのですが、バッテリー消費が激しい傾向にあって、残念ながら筆者の個人的な評価は低くなってしまいました。同じペットネームを持つ「ARROWS X F-02E」は、どれくらい省エネチューニングが進んでいるのか? 実際に運用してログを取ってみましたので、グラフや表を見ながら説明していきます。
この春スマホである「ARROWS X F-02E」は、CPUに「F-10D」と同じクアッドコアのTegra 3を採用していますが、元々の1.5GHzから1.7GHzにクロック(動作周波数)アップされた強化版となっています(型番は別だが新製品では無い)。クロックを上げると、消費電力や発熱が増すのは避けられません。また、フルHDディスプレイは、HDディスプレイより2.3倍のピクセル数を持つので、この描画にもパワーが必要となってきます。スペック的に「ARROWS X F-10D」よりもパワーアップされた「ARROWS X F-02E」ですが、その分消費電力的にはさらに厳しくなっています。
上のグラフの左側を見てください。この角度が急な箇所は、Wi-Fi接続してLINEのゲームをしたり、GPSでの位置情報を加えたカメラ撮影をしたり、Twitterのタイムラインを眺めたりしていたときのログを示しています。画面の輝度は「自動」です。結構ヘビーな使い方だと思いますが、そんな使い方だと、1分あたり1%ほどの速さでバッテリー残量が減っていきます。温度も50℃を超えてしまう場面もありました。
グラフ右側の角度がなだらかな箇所は、端末設定を最適化したり、「NX!エコ」を活用してみたときのバッテリー持ちを示します。TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSは、パッと見てすぐ消灯したり、カメラも撮ったらすぐ終了させるといった使い方を心がけ、画面の輝度は最低にしてみました。これらの工夫によって、なんと100%から0%まで、49時間持たせることができました。
「ARROWS X F-10D」では、スリープさせていても、バッテリーはどんどん減っていきましたが、「ARROWS X F-02E」では、スリープの最中のバッテリー消費が大幅に改善されていると言えます。
Tegra3の制御技術が進化した
「ARROWS X F-02E」を実際に使用してみた感じでは、1.7GHzになったからといって、バッテリー消費が特別早くなったという感じはしませんでした。CPUの制御技術が進んだおかげか、それほどパワーが必要ないアプリを動かすような場合には、クロック数をかなり低く抑えたり、使用するコアを1~2個に制限するなどの動作が、以前よりもしっかり働くようになっています。これは、CPUの動作を監視するアプリ「System Tuner」で確認することができます。
LTE/3G通信チップ「COSMOS」がバッテリー持ちに貢献!
また、「ARROWS X F-02E」は、モバイルネットワーク通信を司るモデムに、新たに純国産の「COSMOS」チップを採用しており、それがバッテリーの持ちに影響を与えているのかもしれません。「COSMOS」チップは、「ARROWS X F-10D」や「ARROWS V F-04E」では「SAKURA」チップが搭載されていましたが、今回新たに採用された「COSMOS」チップでは、それと比べて30~40%の省電力化を達成しているとのことです。
LTEはつながれば速いけれど、バッテリーがどんどん減っていくのが不満な点でしたが、「COSMOS」チップのおかげで、LTEだからといってバッテリーの持ちを気にしなくても済みそうです。
省電力設定でバッテリーを長持ちさせる「NX!エコ」
富士通スマホには、省エネ設定ができる「NX!エコ」が用意されています。「NX!エコ」のデザインは、白を基調としていた「ARROWS X F-10D」とは大きく変わって、精悍なブラックになっています。「NX!エコ」を使えば、CPUのクロック周波数の上限を下げたり、ディスプレイの輝度を調整したりして自動で節電をしてくれます。
時間帯を設定しての「タイマーエコモード」や、電池残量に応じて機能をスタートさせる「電池残量エコモード」など、ユーザーが自由にカスタマイズすることも可能となっています。
ARROWSシリーズの独自機能
「アプリ電池診断」を活用しよう
端末設定メニューの「電池」の画面に、なぜか目立たないように配置されているのが「アプリ電池診断」へのボタン。下の写真で赤で囲んだところがそうなのですが、あまりに小さくて見逃してしまいそうです。
この「アプリ電池診断」は、どのアプリが電池消費が多いのか、バックグラウンドで動作している時間が長いアプリは何なのかということをズバリと教えてくれます。サードパーティ製のアプリで同様な機能を持つものはありますが、端末の設定メニューに組み込まれているのは珍しいと思います。「アプリ電池診断」で指摘されたアプリで、ほとんど使わないものがあれば、アンインストールしてしまうのも手です。
ARROWS X F-02Eは買いなのか?
ARROWS X F-02Eは、ドコモ春スマホの中でもハイスペック機の位置づけですが、初めてスマホを購入するというユーザーに配慮した機能が満載な端末です。その分、カメラ設定の簡素化など、ヘビーユーザー層には若干物足りないかな…という面もあり、ARROWSシリーズのフラッグシップとして「これこそがARROWSの武器だ!!」というアピールポイントが少ないところが気になります。
ドコモ春スマホラインナップの中では、デザイン面で高評価の「Xperia Z」、ケータイモードやフィットホームといった独自UIを搭載してきた「ELUGA X」、バッテリー容量が3000mAhの「Optimus G Pro」といったあたりがライバルとなるでしょう。「ARROWS X F-02E」ならではのアドバンテージは、「スマート指紋センサー」や、「持っている間ON」、「水平時すぐにスリープ」など、各種センサー類を駆使したきめ細やかな機能の数々。特にセキュリティ重視な方には、指紋認証しないとロック解除できない「ARROWS X F-02E」は購入候補に入れてもいいと思います。
ARROWS X F-02Eの詳しいスペックはこちら
●OS:Android 4.1 ●サイズ:約W69mm×H140mm×D10.3mm(最厚部 約10.7mm) ●重さ:約157g ●画面サイズ:約5.0インチ(1080×1920ドット)TFT液晶 ●CPU:Nvidia Tegra3 1.7GHz(Quad Core) ●内蔵メモリ:ROM 32GB/RAM 2GB ●カメラ:有効画素数1630万画素CMOS インカメラ:130万画素 ●バッテリー:2420mAh ●最大外部メモリー:microSDXC 64GB
LTE:○(下り最大100Mbps対応)
ワンセグ:○
NOTTV:○
おサイフケータイ:○
NFC:×
赤外線通信:○
防水/防塵:○(IPX5/IPX8)/○(IP5X)
テザリング:○(8台まで)
おくだけ充電:×
本記事は「mobileASCII」(http://mobileascii.jp/)に掲載された内容から転載したものです。mobileASCIIのWebサイトにアクセスするには、右のロゴをクリック!