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『転換期を迎える環境ビジネス 概説REDD+』刊行特別インタビュー 第2回

2013年、ポスト京都議定書でREDD+の存在感は増していく

2013年01月18日 11時00分更新

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2013年以降はREDD+が地球温暖化対策の一つの柱に

 しかしながらREDD+の未来に悲観的になる必要はありません。なぜなら、温室効果ガスの削減は今後も進めていくことに変わりありませんし、REDD+が温暖化対策に大きく貢献できることは明白だからです。さらにREDD+がどのようなスキームの中で行われていくかによって、大きなビジネスチャンスにもなり得るからです。本書を刊行する意味は、まさにここにあります。

 そして、これからの環境ビジネスで重要な役割を果たすのは金融です。REDD+から生まれてくるカーボンクレジットについては、排出量取引との関係を中心に一つ章を設けて詳しく紹介しています(本書第6章)。これは、銀行や機関投資家など金融機関の方々に向け、将来REDD+がビッグビジネスになる可能性を十分に秘めているということを伝えたい狙いがあったからです。

 ところで、カーボンクレジットの現状をみると、例えばCDMから創出されるクレジットCERの1トン当たりの価格は現在1ユーロを割っている状況なんです。これにはさまざまな要因がありますが、リーマンショックから欧州経済が完全に立ち直っていないことや第二約束期間に最大のクレジット購入国である日本が不参加であることなどの影響も大きいと考えられます。

 REDD+によるクレジットは単位当たりではCERに比べてより低価格になることが予想されます。このような状況では民間資金を呼び込むことが難しくなります。したがって、特にREDD+クレジットの場合には有効性が担保されるような制度作りをしっかり検討する必要があります。

 ここでは詳しく説明しませんが、ある程度管理された市場メカニズムの検討や、国内における統一された排出量取引制度構築と運用方法の検討が重要になるでしょう。REDD+は今後、地球温暖化対策の柱の一つになることは明らかであるので、真にREDD+にふさわしい制度作りがなされるならば、実に大きなビジネスチャンスの生まれる場を数多く見出すことができるものと思われます。

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