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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第11回

2012年に買ったガジェットまとめと、ものづくりへの参加

2012年12月30日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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アイディアとノートPCだけで始める
マイクロメイカー体験

 2012年に話題になった書籍の1つに「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」(NHK出版)があります。これまで生産設備などを抱えなければ作ることができなかった製品を、アイディアとノートパソコンがあれば作り始められる、といった新しいものづくりのトレンドを語った書籍です。

 明治以前から続くものづくりに対するノウハウや技術などの高い資産がある日本にとって、このMAKERSの動きは、国内、あるいは海外からのアイディアや資本の流入などによって、日本の製造業の活性化のヒントになっているのではないか、と非常に期待するトレンドが生まれたと思っている次第です。

 例えば前述のハリオグラスのコーヒー器具は新世代のコーヒーショップのほぼ全ての店で使われ、信頼される「プロの道具」としてのブランドが確立しています。デザイン性や精度の高い加工は、なかなか他の国では真似できないキャラクターになっているのです。テクノロジーに加えて、筆者が2013年に追いかけてみたいテーマでもあります。

 一方で、メイカーズの流れは、「ちょうど良いモノがないのなら作ってみよう」という発想を呼び起こす方向にもなります。筆者は2012年に、3つのガジェットに関するアクセサリの企画をしました。いずれも、VIVA JAPANで「松村太郎電器」という屋号で取り扱っています(http://www.viva-jp.com/taromatsumura/)。

 1つ目は「Zenbag」と名付けたiPad/MacBook Air用のコンパクトな仕事カバン。どうしても荷物が重くなりがちで肩こりが心配な筆者が、必要なモノが入る機能性と最小限の容量で、持ち歩くモノを減らす軽快なモバイルバッグとして考えたモノです。この企画は良質なカバン作りで定評があるFUJITAKAブランド(http://fujitaka-japan.com/)を展開するイケテイさんにスケッチを見せるところから作り始めました。

MacBook Air 13インチ対応のモデルには、かろうじて、MacBook Pro 15インチRetinaが収まった。荷物を減らして軽快に行動できるカバンとして企画した

 2つ目はマイクロ一眼カメラ用のグリップストラップです。マイクロ一眼はコンパクトさから女性向けのアクセサリは充実しているのですが、男性向けが少ないと感じていました。また、カメラに付属するストラップは、カバンに入れて持ち運ぶときに邪魔になる一方です。小さなカメラをしっかりホールドして撮影する安定性をどう確保するか、という点で、グリップ製を高めるストラップが欲しいと思いました。これは、横浜にある革工房のROBERUさんと企画をしました。

ROBERU グリップストラップ。マイクロ一眼を気軽に持ち出せ、安定して撮影できるスナップ用のアクセサリー

 3つ目もROBERUさんとの企画で、6月に購入したMacBook Pro Retinaディスプレイモデル向けの革のスリーブケースで良いモノがないなという話をFacebookで交わしていたところ、ROBERUさんが「剥いた革の裏地が余っていて、これでカバンが作れないかと考えている」というコメントがあり、実現したものです。折り紙のような加工をするため「ORIGAWA」と名付けました。

素材を生かすシンプルな加工のアイディアは、長年の経験によるもの。

 イケテイさんやROBERUさんの経験と、素材と加工のアイディアに、少しだけアイディアを付加するというスタイルでものづくりをしていましたが、お互いに発見があり、とても楽しいプロセスでした。また、サンプルの写真をブログやFacebookで紹介して意見をもらったり、色選びの投票をしてもらったり、ソーシャルメディアでいろいろな方にプロセスに参加して頂いて磨きをかけることもできました。

 これまではすでにあるものを選んで購入するというのが基本でしたし、これからも大部分の消費はこのスタイルが続くと思います。しかし一方で、ものづくりに参加する、自分が企画する、といった動きも可能になっているのは、ウェブやソーシャルメディア、そしてメイカーズのトレンドであると言えます。

 海外では、Kickstarter(http://www.kickstarter.com/)で毎日のように新しい面白いガジェットのアイディアが投稿され、実現をサポートすることができます。またQuirky(http://www.quirky.com/)のようにアイディアを自分で提案する場も用意されました。ぜひ2013年は、ただ選ぶでなく、少しだけ作るところに参加することができると、面白いのではないかと思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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