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ESET社CEOリチャード・マルコ氏インタビュー

社員教育に2年をかける「スロバキアのグーグル」

2012年12月13日 09時00分更新

文● 澁野義一/アスキークラウド編集部

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左からESET社CEOリチャード・マルコ氏、同社アジア地域COOエヴァ・マルコヴァ氏、同社CROユライ・マルホ氏

 スロバキアのセキュリティーベンダー、ESET社のCEOリチャード・マルコ氏が来日した。同社はアンチウイルス市場の黎明期から製品開発に取り組んでおり、1億人以上のユーザーを抱えるグローバル企業に成長した。今回、同氏にインタビューする機会を得たので、日本ではあまり知られていないヨーロッパのグローバルIT企業の実態について話を聞いた。

規模の大きな日本市場に期待している

――ESET社の成り立ちを教えて下さい。

 会社がスロバキアで設立されて、今年で20年になります。私たちは1987年にPC用のアンチウイルス技術を確立し、5年後の1992年に起業しました。現在は世界中で10ヵ所の販売拠点と5ヵ所以上の研究拠点を持ち、180以上の国でアンチウイルスソフトを販売しています。そういえば、メディアワークスさんも20周年なんですね。お互いお祝いしないと(笑)。

――そうですね(笑)。今回来日した主な目的はなんでしょうか。

 マルウェア脅威の動向に関する分析/解説のイベントのために日本に来ました。昨今は遠隔操作ウイルスやネットバンキング系ウイルスの脅威が高まっているため、一般ユーザーの関心も集まりつつあります。日本のアンチウイルス市場の規模は世界でもトップクラス。今後の成長も見込まれるため、非常に重要視しています。

 我が社の国内シェアはコンシューマ/法人向けともに10%程度なので、さらにESETのブランドを認知させたいと考えています。

――日本ではキヤノンITソリューションズが販売代理店ですが、両社の出会いはどのようなものだったのですか。

 11年前にハノーバーで開かれたITエキスポ「CeBIT」(シービット)です。当時の日本市場はトレンドマイクロ/シマンテック/マカフィーの3社による寡占状況でした。参入の契機をうかがっていたところ、ウイルス対策ソフトを探していた現キヤノンITソリューションズさんと巡り会ったというわけです。

ウイルス対策マーケットの変化に
研修とハードワークで対応

――かなり初期からグローバルな展開を考えていたようですね。会社の規模はどのくらいなのでしょうか。

 従業員は約800人で、そのうち半分くらいはスロバキアの本社にいます。シンガポールや南米などの拠点では、現地で人員を採用しています。

 我々のようなワールドワイドな企業になると、さまざまな価値観を持った人がいます。チームをまとめるには、誠実さやお互いの信頼がなによりも重要ですね。

 例えばウイルスの研究室に新人が入った場合、通常では1~3カ月程度の研修を経てデータベースを操作できるようになります。それに対し我が社では、最低でも2年間の訓練が必要です。

 それだけ技術が複雑ということもありますが、2年という期間を設けることでお互いが信頼できるかどうか、一緒にやっていけるかどうかを確かめる意味合いもあります。優秀な人材が他社に引き抜かれるリスクも減らせますしね。

――なるほど。社風はどのようなものなのですか。

 エンジニアにとっては「スロバキアのグーグル」のようなイメージですね。自由で、職場の風通しもいい。もちろん、高い品質を保つためにハードワークも要求されます。私たちが目指しているのは、可能な限り高いユーザー満足度を提供することです。もちろんシェアの獲得も大切ですが、他社との競争ではなくユーザーに最高のサービスを提供することを考えています。

――ありがとうございます。最後に、今後の展望を聞かせて下さい。

 マーケットは変わりつつあります。これまではウィンドウズOSに対するニーズがアンチウイルス市場のほとんどを占めていました。現在はiOSやAndroidといった端末用モバイルOSが企業や学校でも使われるようになったので、それらの対策が必要です。我が社は来たるマルチプラットフォーム時代を見据えて、ウイルスを含む未知なる脅威への対応を進めていきます。

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