2013年早々リリースに向け、モニターキャンペーンも開始
キヤノンITS、ユニライセンスのESET次期バージョンを説明
12月5日、キヤノンITソリューションズは2013年早々にリリース予定の「ESETセキュリティソフトウェア シリーズ」次期バージョンの紹介も兼ねた説明会を開催した。ESETからはCEOおよびCRO(Chief Research Officer)が来日し、同社のビジネスの現況や最新のセキュリティ動向などについて説明が行なわれた。
国内でユーザー満足度トップ
まず登壇したESETのCEOのリチャード・マルコ氏は、同社がウィルス対策を開始して今年が25周年に当たることを紹介し、「ウィルスの創成期から世界のウィルス対策を牽引」して来たことを紹介した。
全世界での拠点数や従業員数、売上高なども順調に成長しているという。技術面での評価としては、第三者による検証としてよく知られる“Virus Bulletin”によるテストではウィルス検出率100%の製品に贈られる“VB100 Award”を業界最多となる76回受賞しており、さらに直近の10年は連続でVB100 Awardを取り続けているという。
同氏はグローバルでの同社製品のシェアの高さについて、「中央/東ヨーロッパや中南米、香港ではトップシェアだ」と紹介する一方で、英仏独米日といった競合も多い地域ではまだトップではないもののシェアが伸びているとした。特に日本については、アスキー総研が実施したユーザー満足度調査の結果を紹介し、さまざまな評価項目で高評価を得て総合トップになったのみならず、2位に17ポイント弱の差を付けたことで「抜きんでて高い評価が得られた」としている。
続いて同氏はWindows版、Mac版、Android版それぞれの最新機能構成について紹介を行なった。主な強化点は、モバイルデバイスのみではなく、PCまでカバーするようになった「Anti-Theft」(盗難防止)や「Anti-Phishing」(フィッシング対策)、Facebookを対象とした「ESET Social Media Scanner」などだ。
セキュリティ対策の有無で感染率は異なる
続いて、ESETの研究開発部門を統括するユライ・マルホ氏がマルウェア脅威の現状と2013年以降の予測について講演を行なった。
同氏は、2012年のホットトピックとして、経済的な利益を狙ったボットやRAT(リモートアクセスツール)のほか、PCを操作不能状態にした上で解除のための“身代金”を要求する“Lockscreen”や“Ransomware”が出現したことや、企業ユーザーを対象とした情報の盗み出しやサボタージュと言った攻撃、またMacやAndroidを対処とした脅威の増大などが見られたと語った。
また、同氏はユーザーが“気づいた”マルウェアの種類やシェアのリストを紹介し、国ごとにセキュリティ対策の普及度合いが異なることから、実際にマルウェア被害に遭ったユーザーの数がずいぶん違うことを紹介した。具体的には、日本でトップシェアのマルウェアはユーザーベースのシェアで0.05%なのに対し、インドネシアでは1.32%となっており、25倍以上の比率となっているという。とはいえ、一方で“Win32/Rabasheeta.A”と呼ばれるリモートアクセスツールではソースコード内に日本語の記述が見つかることから日本製と目されており、日本国内は安全、というわけではないことも指摘した。
最後に、「ESET セキュリティソフトウェア シリーズ」の事業戦略について、キヤノンITソリューションズの執行役員 プロダクトソリューション事業本部長の楢林 知樹氏が紹介を行なった。同氏は、ESETビジネスが2008年頃から顕著な成長を遂げており、年平均売上成長率は141%というハイペースであることを紹介し、今年11月にはキャンペーンの効果もあってコンシューマ市場でシェア10%を超えるまでに至ったという。
同氏は、「成熟市場と言われるセキュリティソフトウェア市場でも、やりようによっては大きな需要が掘り起こせることが分かった」という。同氏は今後の製品計画について、次期バージョンであるV6ではマルチプラットフォーム対応を強化し、プラットフォームによらず合計利用台数でライセンスをカウントするユニライセンス方式を導入する計画であることも明らかにした。また、2013年早々のリリースに向けて、同日から12月27日までの同社のWebサイト上でモニタープログラムの提供を開始することも発表した。