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Web制作会社を辞めて、「注目の無職」に。 (4/5)

2012年11月30日 13時00分更新

文●盛田諒/アスキークラウド編集部

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会社をやめたのはスキルアップのため
でも転職活動はしていない

―― そして地震の翌月、4月に無職になられたと。このWeb Professionalという枠は、Webの制作・宣伝に携わる人に向けた枠でもあります。処之助さんも、無職になる前はWeb制作をされてたんですよね?

 はい。ただ、そうなったのも本当なりゆきで。

―― なりゆきというと。

 もともと通信回線の営業会社にいたんですけど、Web事業作ってみようかって話があって、ぼくが出向したんです。それまでインターネットとかYahoo!くらいしか知らなかったんですけど、そこ行って初めてFirefoxとか知って。なにこれー! Firefoxー? みたいな。

―― そこでWebの経験を積んでから、2社目のWeb制作会社に行ったと。

 はい。せっかくFirefoxとか知ったし、Webのことやりたいなと思って。でも、結局いたのは2年くらいですかね。Web作れるとはいえ独学だし、知識もあまりに偏ってるんで、そろそろちゃんとした制作会社に入らないとヤバいなと思って、やめたんです、そこ(2社目)を。

もとはWeb制作の仕事をしていた処之助さん。知識は独学、年齢もそれなり。「そろそろちゃんとした制作会社に入らないとヤバい」という焦りが、処之助さんを動かした。

―― ツイッターを見てると、アカウントがバレて会社をクビになった、みたいな流れに見えますが、そうじゃなかったんですか?

 全然自分から辞めましたね。その会社は、社長が知り合いから仕事を頼まれるけど、作れる人間がいなくて困ってる、くらいのところだったんで。いいものを作ろうとしないと、スキルアップしないじゃないですか。でも、社長からしたらもう、そんなんどーでもよくて。安く早くやってくれ、みたいな。デザインがダサくても、今時じゃなくてもいい。一生この社長が給料上げてくれるならいいけど、急に仕事なくなったからじゃあサヨナラってなったとき、このまま、ここのやり方でやってたら、次どこかに行けなくなるな、と思って。

―― ものすごくまっとうじゃないですか。

 ねえ。あのときの自分のエネルギー、どこ行ったんでしょうね。

―― 結局、転職活動はやめちゃったんですか?

 してないです。辞めたちょっとあとくらいに本(書籍化)の話が来て、「あれ、これラクできるんちゃうかな?」と思って。

―― 筆1本でしばらく食っていけるんじゃないかなと。

 どっかには自然と落ち着くんじゃないかなと。自分で考えなくても、どうなるか分からんけど、勝手にいいようになるんちゃうかな、って。それで転職先とか探さなくなったんです。もともと1回も探してないんですけど。

―― 1回も探してないんじゃないですか……。

 で、このありさまです。

―― いまは完全に無職ですよね?

 そうですね、ザ・無職ですね。

文芸誌「文學界」の筆者紹介は、「処之助(ところのすけ) 無職。」

―― 先日、ネットレーベル「マルチネ」オーナーのTomadくんが「ニートがやることなくなると社長になるしかない」と言っていて、妙に納得したんです。実際、日本一の二ートを目指しているphaさんなど、ある種のネオ・ヒッピームーブメントのようなものが起きつつあります。その中、まじめに無職というものを考えていたり……。

 まったくないです。ぜんっぜん。働いてもいいけど、あんまり嫌な気持ちになりたくないなあってのはありますけど。人との摩擦とか。

―― 社会的なことが嫌だったっていう。

 まあ基本的になめてるんでしょうね。

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