ピュアオーディオの部材屋が作った
極小本格オーディオシリーズ「NANOCOMPO」
PCスピーカー「TW-S7」が大きな話題を呼んでいる、東和電子のオーディオブランド「Olasonic」。19日に発表した新製品はその名も「NANOCOMPO」シリーズだ。
メインはDAC(デジタル→アナログ変換器)内蔵ステレオアンプで、CDトランスポートやD/Aコンバーターなど、5製品を同じシリーズから発売する。発売は来年3月、価格はモデルによって異なるが、5~10万円といずれもミドル級。
NANOCOMPOシリーズの特徴は、全製品おなじ金型で統一されたミニマルなサイズとデザイン。筐体は幅149×奥行き149×高さ33mmという手のひらに乗る極小サイズだ。素材はアルミダイキャストを使い、コンパクトながらオーディオらしいまとまりを作った。縦置きも可能で、CDパッケージと同じ感覚でテーブルの上に置いておける。
難しいことを考えずに言うと、かっこよかった(小学生並みの感想)。
96kHz/24bitをドライバーなしで
PCのジッターノイズもレートコンバーターでカット
目指したのは、小さくても本気の音作り。
ステレオアンプ「NANO-UA1」のスペックを見ると、まずDACとしては96kHz/24bitの音源に対応。入力ソースを96kHz/24bitにアップコンバートも可能だ。入力はUSBと同軸(光デジタル)、アナログの4つ。
特徴は、96kHz/24bitの再生に、ドライバーのインストールが不要であること。これまでの96kHz/24bitは、パソコン側の設定に手間がかかり、再生までにつまづいてしまうことが多かった。それを難しいことを考えず、線をつなげば良い音が出るという仕組みにしたことで、ハイファイの垣根を引き下げている。ちなみに最近だとソニーのポータブルヘッドホンアンプ「PHA-1」がドライバーレスの96kHz/24bitに対応している。
出力は、4Ωの26W+26W。これを通常の発想で設計するとアンプブロックや電源も大きくなるが、そこにOlasonicシリーズでおなじみのキャパシターを入れ、小さな電源しかもらえなくてもちゃんと働くシステムにした。また、パソコンから音を入れるときはアンプがパソコンと同期するため、パソコンのジッターノイズが影響してしまうが、そこはレートコンバーター(バーブラウン社製)を入れ、いったんPCと非同期にすることでカットしている。
「われわれの知る限り、音の良い部品を使った」
会場ではKEFの「R700」、ソニーの「SS-NA2ES」という、2組のスピーカーで試聴した。とくにSS-NA2ESでの出音は圧倒的。ギターのアコースティックな音もやわらかく出て、クラッシック、サン・サーンスの協奏曲はその場にオケがいるような臨場感があった。
単純に言えば、デカくて迫力と繊細さがある良い音だ。家ではプリメインアンプにマランツのPM7004、スピーカーにJBLの4312M(どちらも入門的なオーディオ)を使う、ぼくのような人間は「うおおおおおっ」と心中さけんでしまう。
山本喜則社長いわく、「われわれの知る限り、音の良い部品を使った」。ピュアオーディオの部材をつくってきた東和電子が考えてきた「これからのハイファイオーディオ」のアイデアが、具体的な形をもってあらわれてきた印象がある。
そのほかのNANOCOMPO製品群も、見た目どおり鋭角で、刺激的なものが多い。詳しくは当サイトの鋭角系音楽連載「四本淑三のミュージック・ギークス!」でも扱う予定なので、そちらも乞うご期待。
