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日本でもモビリティサービスを本格立ち上げ

アクセンチュア、スマホアプリのテスト環境をサービス提供

2012年08月06日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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アクセンチュアは、スマートフォンやタブレットをなどのスマートデバイスを用いた企業の経営革新実現を支援する「モビリティ・サービス」の展開を開始。発表会では、スマートフォンのテストをリモートから行なえる「Testing as a Service」が紹介された。

スマートモバイルがどのようにビジネスを変えるか?

 今回、発表されたモビリティ・サービスは、企業の経営コンサルティングやシステムインテグレーションをビジネスの中心とする同社の中でも、新しいビジネス領域になる。具体的なサービスは、モバイル活用のコンサルティング、アプリケーションやデバイス開発や設計を実現するソフトウェア関連サービス、サービスの運用管理、さらにこれらを包括するビジネス総合サービスなど多岐に渡る。これを実現すべく、同社は元ノキアの3000名を含むグローバル4000名からなるモビリティサービスグループを構築し、日本でも清水新氏を統括役となるエグゼクティブパートナーに据えている。

 清水氏は、企業ビジネスに直接影響を与えるエンタープライズモビリティの分野に焦点を絞り、こうしたサービスが登場した背景について説明した。

アクセンチュア モビリティサービスグループ統括 エグゼクティブパートナー 清水新氏

 まず清水氏はiPhoneやAndroidデバイスとソーシャルメディアの爆発的な普及がモバイルの分野での大きなトレンドになっていると説明した。同氏は旧来のメールやポータルサイトの利用時間が18~34%程度短くなる反面、SNSの利用時間が1年間で42%も増加したという調査を披露。また、コンシューマーのデバイスや利用形態が企業に対して先行しており、スマートモバイル利用やSNS活用でコンシューマーを追従しないと企業は「ソーシャルデバイド」に陥ると指摘した。

ユーザーのネット利用実態の変化

 実際、企業でもスマートモバイルの活用は進んでおり、社内メールやスケジュールとの連携、顧客とのタッチポイントなどの「コミュニケーションツール」からスタート。次に営業支援システムや経費精算、カタログ電子化など「部署内での業務の最適化」に進みつつあるという。

エンタープライズ・モビリティ発展のシナリオ

 清水氏によると、ある小売業のユーザーは、営業トークの順番やお奨めする商品、価格情報をタブレットに表示できるようにする一方、お客様の反応を入力し、背後のデータベースに収納することにした。こうして販売手順を標準化し、ナビゲート機能によりトレーニングを減少させたことで、売り上げも4割伸びたとのこと。セールススキルを標準化することで、全体の6割を占める中位の営業担当者のスキルのばらつきを解消し、生産性を向上させることができるからだという。

 清水氏によると、このエンタープライズでのモバイル活用は、最終的に経営モデルの高度化といったステージまで進む。顧客のデバイスにアプリをインストールしたり、営業マンがスマートデバイスを持つことで、「最前線の情報収集をリアルタイムに収集し、現場から報告させない仕組み」を構築でき、経営管理の高度化を実現できるという。

モバイル活用で経営に必要な情報をリアルタイムに収集

実機のテストをリモートから!自動化も可能

 後半は多岐に渡るモビリティ・サービスのうち、Testing as a Serviceが紹介された。Testing as a Serviceは多種多様なAndroid端末のテストを効率的に行なうためのサービス。年々増える端末、アプリケーションの拡充、そしてOSの更新頻度の増加などで加速的に増える検証作業を効率的に行なえる。

 具体的には、アクセンチュアのリモートテストセンターに設置された端末をインターネット経由で制御するというもの。各端末はUSBで専用クレードルに接続され、画面はビデオカメラで撮影される。PCのWebブラウザ上からソフトのインストールや起動などの操作が行なえ、ハードキーも操作できる。エミュレーターではなく実機を使うため、手元に端末があるようにテストが行なえるという。また、複数の操作を組み合わせた自動化や作業のモニタリングも可能で、テストの負荷を大きく軽減する。

Webブラウザ上からアプリケーションをインストールし、さまざまなテストが行なえる

 リモートテストセンターは、グローバルでも9カ国に設置されており、日本では東日本大震災の復興支援という目的もあり、IT関連のコースが充実している会津大学に設置されている。1IDあたり48万円でリモートテスト環境を提供するサービスが提供されるほか、テスト自体や開発支援コンサルティング、開発業務自体の受託なども提供される。

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