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248TBを8時間で!重複排除ストレージ「Data Domain 990」も投入

バックアップに及び腰な日本を重複排除で後押しするEMC

2012年07月13日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月12日、EMCジャパンは重複排除バックアップ製品である「EMC Data Domain」および「Avamar」の新製品を発表した。また、災害復旧に関する調査報告では他のアジア諸国に比べ、バックアップ予算が低く、システムやデータ復旧に自信がないという回答が披露された

Data DomainとAvamarがますます進化・連携

 今回の発表は、6月に米国で行なわれたEMC World 2012で発表内容を受けたもの。新製品について説明した米EMC バイスプレジデント兼バックアップリカバリシステムズ部門 CTO ウィンザー・スー氏は、まず、「かなりのスピードでテープからバックアップ専用アプライアンスへの置き換えが進んでいる。重複排除は、すでにあればよいというレベルではなく、なければならないものになっている」とバックアップ製品の市場動向について説明。この中で、Data Domainのような重複排除バックアップ製品は、2位に比べて約7倍という高いシェアを誇っているとアピールした。

米 EMC バイスプレジデント兼バックアップリカバリシステムズ部門 CTO ウィンザー・スー氏

 今回発表された「EMC Data Domain DD990」は重複排除ストレージ「EMC Data Domainシリーズ」の最上位機種。競合機種に比べ6倍高速、3倍容量を謳っており有効容量は最大570TBで、248TBを8時間でバックアップできるという。長期保存用途のDD Archiverをソフトウェア化したExtented Retentionソフトウェアオプションを利用すると、通常のデータとアクセス頻度の少ないアーカイブデータを分離できる。これにより、有効容量を1.3PBまで拡張可能。また、最大270からのリモートサイト統合に対応するほか、コンプライアンスの案件に従い、ファイルやメールのアーカイブを保護する「DD Retention Lock Compliance Edition」も追加された。

EMC Data Domainシリーズの最上位機種「DD990」

 重複排除の処理のサーバー側に分散する「Date Domain Boost」もOracle RMANに対応したことで、パフォーマンスも最大で50%向上。多重バックアップにも対応し、ますますパフォーマンスはよくなったという。

 さらに重複排除用のソフトウェア製品である「Avamar」も最新版の6.1が登場した。VMware環境において競合製品の1/30というリカバリ処理の短縮化を実現したほか、新たにマイクロソフトのHyper-Vをサポート。SAPやSybase、Microsoft SQL Server 2012などにも対応し、Oracle対応も強化。フルのデータベースのリカバリのみならず、詳細なリストア、ログのみのリストアなどが可能になった。Data DomainとAvamar、DD Boostなどとの連携も強化され、バックアップサーバーから用途にあわせて保存先を変えるといったこともでkりようになる。

根強いテープ信仰の残る日本

 発表会では、APAC(アジア太平洋地域および日本)10カ国の2500社を対象に行なわれた災害復旧に関する調査も披露された。日本企業は他国と同じく250社のIT担当者が参加。米EMC アジアパシフィックジャパン バックアップ・リカバリ・システムズ部門 プロダクトマーケティング・ディレクター シェーン・ムーア氏によって、APAC各国と日本の比較も明らかにされた。

米EMC アジアパシフィックジャパン バックアップ・リカバリ・システムズ部門 プロダクトマーケティング・ディレクター シェーン・ムーア氏

 ムーア氏はまず全体の81%にあたるユーザーがシステムやデータの復旧に確信を持てないという点を指摘。また、71%が過去にデータ損失やシステムダウンなどを経験していると説明した。「調査では過去1年平均で624GBの損失、2日間のダウンタイムを経験していることになる」(ムーア氏)。これらは、ハードウェア障害、ソフトウェア障害、データ破損、電源障害、自然災害の順位で起こっており、生産性の低下や製品・サービスの遅延、顧客からの信頼低下、収益の損失などの事象を誘発しているという。

ディスクベースのストレージは66%だが、テープも58%と高い

日本ではテープバックアップを見直そうという比率は低い

 その一方で、バックアップやリカバリにかける予算は売り上げ全体からすると少なく、特に日本はAPJ全体に比べ、3%以上も低いという。また日本特有の事情としては、テープメディアの利用率がAPJ全体に比べ、14%も多い点が挙げられる。テープの利用を止めたくないと考える割合もAPJ全体に比べ、倍近くにおよび、根強いテープ信仰があることが裏付けられた。ただ、ディスクベースのシステムへの移行も進んでおり、66%におよんでいるという結果も出た。ムーア氏はData Domainをはじめとする同社のバックアップ/リカバリ製品で、性能やコスト面での障壁もなく、重複排除を導入できるとアピールした。

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