LEAPは、どんな技術を使っているのか?
現在公開されている情報は少なく、詳細はまだ分からない。Leap Motionでは現在公開した動画をベースに製品のプレオーダーを行なっており、1台あたり70ドルで、実際の発送は今年2012年末か2013年初頭を見込んでいる。また開発者の登録も受け付けており、希望者には一部限定でSDKならびにLEAP本体を無償で提供する旨も伝えている。
少ない情報ながらも、公開されている動画からはいくつかKinectとの相違点が確認できる。Kinectではカメラと深度センサー、そしてマイクの3種類のセンサーの組み合わせでモーションやボイスコマンドをキャプチャーし、PCやXbox 360への入力信号に変換する。基本的な映像処理はKinect側で行ない、カメラ画像と深度センサーによる位置情報の形でUSBケーブル経由で転送され、あとの判定はPCやXbox 360上のアプリケーションが実行する形だ。ポイントのひとつは、こうした信号処理の一部をKinect側で実行している点にある。もともとXbox 360用だったKinectは、本体の処理負担を減らすためにKinect側にある程度の処理能力を持たせているのだ。
その結果、Kinect for Xbox 360の150ドルという販売額は「赤字前提のもの」といわれるほどに、Kinectの部品コストが高くなっている(時間が経った現在でもそれほど事情は変わらないと思われる)。
一方、LEAPはどうだろうか? どのようなセンシング技術を用いているかは不明なものの、70ドルという価格で採算がとれるといわれれば、非常に安価に感じられる。いくらセンサー部品などの低価格化があるとはいえ、Kinectと大きく事情が変わるとは思えない。FAQでの説明によれば、センサー周囲8立方フィート(立方体換算で一辺あたり60cm程度)を1/100mmの精度で感知可能だという。手や指の動きに限定されるものの、従来品比較で200倍の精度があるとLeap Motionでは喧伝している(Kinectの入力映像はVGAクラス)。
FAQの中で同社は、「コンピューターの性能は指数関数的に伸びているが、それと相互作用するほどには利用体系は進化していない」と解説しており、可能性としてはKinectが内部に持つような処理系統を取り除き、MacやPC側に処理負担を持たせることで、LEAPデバイスそのもののコストを落としていることが考えられる。
応用分野としてはヘルスケア、エンジニアリング、OS操作、ゲームなどが挙げられている。ゲームやOS操作などは分かりやすい例だが、実用的には3Dモデリングやデザイン、医療分野での3Dでのモデル操作など、より立体的で直感的な操作を行なう用途を想定しているようだ。またLEAPの特徴として、ペンなど指以外のデバイスも検知可能であり、アプリケーション次第ではペンや各種オブジェクトなども組み合わせて入力の一部に利用できるかもしれない。
まだまだ不明なことの多いLEAPだが、同社は適時技術情報を公開していく予定としている。技術自体は過去4年にわたって温めて開発を続けてきたもので、現在特許申請中と説明する。開発者向けキットの提供を1〜3ヵ月以内に開始するとのことで、今後より詳細な情報が出てくることだろう。この辺りは追ってフォローしたい。
また本体価格は70ドルで、2012年12月または2013年1月の発送開始予定となっている。米国以外のクレジットカード受付のほか、日本にも発送可能なようなので(別途FedExの発送費が必要)、興味がある方はオーダーフォームに書き込んでみるのもいいだろう。しかしまずは情報を集めて、その展開をウォッチしてみてほしい。
