2012年5月21日に、太平洋側を中心に日本各地で観測された金環日食。日本でこれほど広範囲で本州で金環日食が観測されたのは、平安時代の1080年以来、なんと932年ぶり、そして本州で金環日食が観測できたのは1883年以来、129年ぶりとなる天体ショーの一大イベントだった。そんな、天体イベントを天体観測を趣味にしている筆者が撮影してきたので、その様子をお伝えしていこう。
キットレンズでも日食撮影は十分可能!
天体イベントを撮影するには、天体望遠鏡が必要だったり高額なカメラやレンズが必要なイメージがある。今回の金環日食は、とても明るいためエントリーモデルの一眼レフカメラがあれば誰でも簡単に撮影可能なイベントだ。ということで、キヤノンのエントリーモデル「EOS Kiss X5」と、同機種のダブルズームキットの望遠用「EF-S55-250mm F4-5.6 IS II」を使用してみた。
金環日食は、太陽が月の陰に大きく隠れるとはいっても、太陽の力はとても強く、そのままでは明るすぎてしまう。そこで、太陽を撮影するのに適した減光フィルターを使用した。減光フィルターは色々なメーカーから発売されているが、今回は、手頃な価格で、光の強さを10万分の1に減らす太陽の撮影用に特化したマルミ光機の「DHG ND-100000」を使った。
カメラ、レンズ、フィルターが揃えば撮影可能だが、望遠を最大にして、設定を追い込んだことで、シャッタースピードが遅くなってしまう。また、3時間にも及ぶ日食の一部始終を撮影しようと思ってもずっと上を向けていると腕が疲れてしまい、後半はまず手ブレしてしまうだろう。
そんな時は、三脚を使うことで、低速のシャッタースピードでの撮影でも手ブレを軽減できるほか、シャッターボタンを押すだけなので腕が疲れてしまう心配もない。使用する三脚は、安定感を考えるとできるだけ大型のものを使ったほうがいいのだが、大型三脚は非常に高価。今回は雲台付きで市販価格が1万円前後の「7322CY-BB [4段ボール雲台付三脚]」を使用した。
月の陰に入るとAFは効かない
設定はマニュアルで固定するのがオススメ
実際の撮影方法だが、太陽が月の陰に隠れてしまうとオートフォーカスは効かなくなってしまい、ピントがボケた写真になってしまう。そこでピントを決める際はマニュアルで行なう。とはいえ、オートフォーカスを使ってある程度ピントを合わせてから、設定を切り替えて、微調整で対応することも可能だ。
次にシャッタースピードや絞りの設定だが、こちらもマニュアルにセットして、DHG ND-100000に付属していた撮影設定早見表を基本に事前の予行演習を行なって、ISO100、絞り11、シャッタースピードは最終的に1/160秒に設定した。