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Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由第3回

ソーシャルメディアを超えるブレインメディアとは!?

「vingow」でマスメディアの主役交代を狙う──JX通信社米重氏

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JX通信社を作るにあたって~メディア論

米重 「そうなんですよ。元々私達がJX通信社って会社を作るきっかけになったのがvingowの一つ手前の……、あ、ちょっと脱線するかもしれないんですけれど」

遠藤 「どうぞどうぞ」

米重 「では、お言葉に甘えて。えぇと、メディア論に挑むような形になってしまうんですけれど、僕らのやっているJX通信社という会社は、元々ウェブ上でニュースコンテンツの売買をやるようなプラットフォームを作ろうということで2008年、19歳の頃に立ち上げたんです。仕組みについて考え始めたのが2006年、高校2年生ぐらいの頃で、当時からウェブのニュースは無料という状態になっていましたよね。それ以前から僕は新聞社に対して、紙にこだわらずにウェブにどんどん進出しなきゃならないんじゃないかという疑問を持っていました。

 ところが、無料で記事を出すということは、収益源は課金か広告かしかないんです。でも、日本のニュースメディアで課金でうまくいった例は実はほとんどない。そのうえ広告の単価はどんどん下がっていく。ある新聞社では、ウェブの売り上げは全体の1%未満というし。そこで考えたのがコンテンツの売買という第三の収益源なんです。課金でも広告でもない第三の収益源をコンテンツ売買というものを通して提供する、そういうオープンなプラットフォームを作ればいいじゃないかと」

遠藤 「どういうことなのそれって」

米重 「たとえば航空業界に詳しい専門誌があるとしまして、そこで『今年はLCC元年だ』とか発信されるわけですよね。すると、それを経済に強い新聞社さんがその記事を買って載せるという事ができれば、コスト面でもメリットがありますよね。新聞社10社がひとつのテーマについて10万円の取材コストをかけて追うとすると、全部で100万円かかるわけですよ。それが、特定の分野に強い企業が1社だけで10万円かけて取材し、残り9社に記事を売ります。そこで浮いたコストをどうするかっていうと、他の分野に振り分けてもいいですし、新聞代を下げて読者に還元してもいいわけです。

 つまり汎用的なニュースコンテンツを売買できれば、浮いたコストで個別のメディアの取材記事や発信内容のオリジナリティをより強くすることもできるし、あるいは料金を下げて読者もメリットを享受できる。記事を売ることで新しい収益源ができるので、広告・課金が多少苦しくても、生き残れるところは増えるのではないでしょうか」

遠藤 「マーケットプレイス的なものなんですか」

米重 「そうですね。私達よくニュースを魚にたとえているんですけれど、ニュースと魚が同じなのは、やはり新鮮なものを沢山の種類欲しい、という点です。私たちが日々新鮮な魚を沢山の種類、おいしく食べられるというのはやはり漁師さんがいて寿司屋さんがいて、その間に仲卸の築地市場があるからなんですね。

 ところが新聞社の場合はそうではない。例えれば漁師と寿司屋をいっしょくたにやっている状態です。多くのお客さんに受けるネタがあれば、どの新聞社も同じような内容になってしまいますよね。そんな状態のままのウェブに突入した結果、特長も出ないし儲からないし、結果ビジネスモデルが成り立たずにバタバタと倒れてしまう。こうした状況になるのが一番まずいと私は思っています。

 日本より先に、米国では大きな新聞社が潰れそうになったりしていますが、日本から米国に対してこうした新しいソリューションを提示できるんじゃないかなと思っています。つまりは、そういう“仮想通信社”のプラットフォームを作ってしまえばいいかなと」

遠藤 「記事を新聞社へ提供する企業といえば、共同通信とか時事通信なんかもあるけど。そこと仮想通信社の目指すところの違いは何ですか?」

米重 「プロセスが全く違います。共同通信、時事通信は自分達で支局を持ち、記者を持っている。そうした方々が取材をして、編集した上で、インターネットとは別の専用ネットワークで配信するわけですね。しかも対象となるお客さんさえも選んでいる。高コストな自前の取材網を使って、汎用性の高い上澄みだけを取材し、ものすごく高い料金で選ばれたお客さんに対して売るというビジネスモデル。

 仮想通信社はそうではありません。インターネットを基盤にするので、パソコンがあれば誰でもアクセスができる。つまり取材網を自社で保つ必要がないわけですね。だから支局や記者がいらない。その代わりにメディアがみんなそこに参加していく。例えば日本だと業界ごとにたくさんメディアがありますよね。たとえば金型業界でも金型新聞ってのがあるぐらいなので、ニッチなメディアがものすごくたくさんある。

 でも、そういう企業が苦境に立たされて潰れたりしているんですね。今はYahoo!ニュースみたいに発信に徹して取材しない媒体も沢山出てきているわけですから、そういったところに販売出来ればいいんです。買い手はマスメディアだけでなく、フリーペーパーやデジタルサイネージ、ポータルサイトでもいいですよね」

遠藤 「メディアの話になると、みんなうるさいじゃないですか。電子書籍のシンポジウムとか行っても、結局出版やってた人が1人もいなかった、なんてことがあるんですよ。それってすごいことだと思うけれど、かといって別に出版やってる奴らがわかってるかっていうと、違うこともある。じつは、この間もコラムで書いたんだけど、出版業界なんて誰でも参入できるんですよ。今や1人の出版社でも日本全国どころか海外にまで届くからね。そんなすごいビジネスないんですよ。

 で、そういうようなことを考えると流通性が上がったら利便性が上がるというようなメッセージをするじゃないですか。でも、容易に手に入るようになるということはお金を生まない可能性がある。通信社の成り立ちについてご存知だと思うんですけれど、かなり昔に専用の通信網を作って、個別にデータを売ってたんですよ。そういうクローズで不便な所からスタートしているんですよね。それが、少しずつオープンになってどんどん大衆化していったということでもあるわけですが」

米重 「確かにそうですが、例えお金を生まないとしても ユーザー視点に立って通したい軸はあります。最近インターネットでは、まとめサイトみたいな2次的に情報を創作したようなものが沢山出てきていますが、それらは多分著作権的にかなりグレーなところがあるじゃないですか。でも、ウェブの特性として、記事がより多くの人に見られることこそが、コンテンツ自体の価値だと思うんです。

 ところが広告収入ということを考えると自社媒体でページビューを稼いだほうがいいので、例えば新聞社のように自前でニュースサイトをやっている側からすれば、自分の出した記事は自分の所で読んでくれ、それ以外の掲示板やまとめサイトでは読まないでくれっていう一種のパラドックスのようになっている。本当は記者さんも、記事を沢山の人に読んで欲しいからこそ書いているというのが根源だと思うんですが。1つの記事を色んな所で読めるっていうのは最終的に利用者にとって利便にもなりますし、その結果あちらこちらで生まれた広告などの収益をシェアできれば、新聞社のようなメディアにとっても大きなメリットがあるはずです」

遠藤 「エンドユーザー視点で見るのがいちばんいいと思う。このサービス使いやすいでしょう? というアプローチがシンプルだし、ユーザーにも伝わるんじゃないかな」

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