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マイフェイバリットブルーレイ【BDマイスターサイト連動企画】 第6回

ライブは音と臨場感がすごい! まだまだBD化して欲しいソフトが

アニメにも詳しい女優・結さんが勧める、BDで観たい作品10選

2012年04月19日 11時00分更新

文● 鈴木桂水(聞き手)

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5位「少女革命ウテナ」

 「輪るピングドラム」の幾原邦彦監督が1997年に作ったアニメです。この「少女革命ウテナ」は、中学生の夏休みにはじめて観て、次に高校の夏休みに観ました。なぜか年を重ねるごとに観ています。最近は昨年DVD-BOXが出たのをきっかけに全編を通して見直しました。

 宝塚歌劇団や少女漫画のようなリリカルな世界観が漂うこの作品ですが、扱うテーマはねじれて複雑な恋愛です。なので、年齢を重ねるごとに、この作品から受ける印象は違ってきています。とくに好きなのが、33話の「夜を走る王子」です。この回は本作の第三部と第四部の間に入っていて、総集編でもあるのですが、書き起こしパートの挿入と演出が素晴らしいので、全くの新作のように感じます。

 書き起こしパートでは、王子様になりたかった少女のウテナが、この回だけウテナたちが通う学校の理事長代理である、鳳暁生(本作の黒幕的存在)とデートするエピソードが挿入されています。いつもは夢見がちで、女性的な部分を排して、男性のように強くなろうとしているウテナが、暁生さんの前ではすごく女性っぽくなるんです。暁生さんは無口なのに、とても饒舌に話をするウテナ。この対比と背景の夕暮れのシーン、そして余韻を残すエンディング。アニメだけでなく映画を含めて、演出とはなにか?ということを考えさせられる一本です。ピングドラムも観ましたが、ウテナと共通する部分があります。

 ピンドラファンなら、ウテナも抑えて欲しいですね。ただ、残念ながらBD化されていません。

Image from Amazon.co.jp
少女革命ウテナDVD-BOX 上巻 (初回限定生産)

4位「バッド・エデュケーション」

 ペドロ・アルモドバル監督の執念が詰まっています。バッド・エデュケーションでは、主人公と友人が神学校(牧師になるための学校)で受けた不幸な経験を忘れずにいる、というのがストーリーの軸になっています。それと近作の「抱擁のかけら」は、男女間の因縁がきっかけで起こる復讐劇を描いています。

 ペドロ・アルモドバル監督の作品には“人の執念の根深さ”が見事に描かれていています。じつは私自身、何事にもあきらめない性格なので、こういった執念深い主人公が登場する作品に共感します。執念というとネガティブな印象がありますが、私は悪いイメージは持っていません。むしろいまの自分があるのも、何事にもあきらめず、執念深く取り組んできたおかげだと思っています。

 この作品もBD化されていないので残念に思っています。

Image from Amazon.co.jp
バッド・エデュケーション [DVD]

3位「リトル・ミス・サンシャイン」

 家族愛が溢れているロードムービーの傑作です。ストーリーは、娘をミスコンに出場させるために旅をする家族を描いています。私はこの作品に出てくる中二病のお兄ちゃんがとくにいい味を出していると思っています。このお兄ちゃんが、思春期をこじらせてしまった感じで、憎めないんですよ(笑)。そのお兄ちゃんと主人公である妹のふれあうシーンはシンプルだけど心に残ります。

 あと一番盛り上がるダンスシーンも忘れられません。作品のテーマである家族愛の描き方も見事です。何度観ても泣き笑いしてしまいます。笑って、泣いてスッキリしたいとき、おすすめの作品です。

Image from Amazon.co.jp
リトル・ミス・サンシャイン [Blu-ray]

2位「ある朝スウプは」

 新進気鋭の映画監督の登竜門として知られるぴあフィルムフェスティバルで2004年にグランプリを取った作品です。私はこの作品に出会って俳優を目指すようになったので思い入れが深いので、BD化されていないのですが、あえて2位に選ばせていただきました。

 この作品は、パニック障害、カルト教団などを扱っているのでとても奇異な作品に思われがちですが、じつは恋愛の本質を丁寧に描いています。たしかに、メジャー作品のような性能の良い機材を使って撮影していないので画質は荒くてBDに不向きと思われるかもしれまません。

 私自身、自主制作の映画に関わることもありますから、現場の雰囲気はわかりますが、夜のシーンなど予算の制限などにより、照明を多く使えないので画面が暗くなりがちです。この作品もそのせいか、画面全体が暗いのでDVDで観ると、映画館で観るよりもさらに画質が落ちてしまい、悪くてつぶれているシーンが多かったように思います。

 BDなら解像度が高いので、フィルム本来の画像を引き出せるので劇場の雰囲気を再現できると期待しています。繰り返して観るごとにその本質に近づけるような、味わい深い作品なので、BDで繰り返し観るのが夢です。BD化を熱望する作品です。

1位「とらドラ!」

 この作品のことなら2時間は軽く語れるほど好きです。恋愛ドラマですが、登場するキャラクターの人物設定が細かくて、現実にいそうな感じがこの作品にリアルな質感を吹き込んでいると思います。その登場人物たちが織りなす恋愛ドラマは、とても共感できる部分が多いですね。

 なかでも印象に残っているのが16話と17話です。未見の方もいるかもしれないので詳しくは話しませんが、この2話で物語が大きく動きますね。それまで体裁を保ちながら関係を維持していた登場人物たちが、それぞれの本性、本質がが見えてきて、ストーリー自体も山場を迎えます。

 ストーリーの流れも、“もう引き返せない”感じが漂ってきて、観ている方もどきどきしますね。それまでポップだったオープニング、エンディングは17話以降、シリアスな雰囲気に変わるんですよね。このガラッと雰囲気が変わる感じも好きです。

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とらドラ! Blu-ray BOX(完全限定生産版)

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