ネットワーク管理ソフトのクラック版を使って
VPNを利用する人たちも
図書館は学生寮と比べればエアコンが効いていて、清潔感があり、広々していてノートPCユーザーの学生らに人気。
ズラリと並ぶ机では、学生が電源を拝借してノートPCでゲームをしていたり、動画を視聴していたり。自由に使えるPCを多数用意する学校もあり、その利用率は高い。
とある沿岸部の大学の寮にお邪魔してみると、数人一部屋の相部屋で、ノートPCを利用している学生が随分いた。
「ゲームも遊びたいし、持っていて恥ずかしくない程度のノートPCを安く買いたい」という中国PCユーザーのニーズに応えたSandyBridgeノートが、3000元台(3万7500円~5万円)、ないし3000元を切る価格で売り出されており、学生の間でもメーカー製のSandyBridgeノートが人気となっている(ちなみに多くの都市の平均月収は3000元までいっておらず、日本人感覚ではまだまだ高い買い物であることは変わりない)。
多くの大学(寮)では「鋭捷(ルイジェ)」なるネットワーク管理ソフトを利用していて、大学(寮)の固定回線を利用しインターネットにアクセスする場合は、鋭捷にログインしないと使えない。
興味がある読者は鋭捷のオフィシャルページを見て頂きたい。素直に利用している人も多いが、鋭捷を検索窓に入れると「鋭捷 破解(クラック)」と予測表示されるあたり、素直に利用しない人も少なくないようだ。
どうも中国国内からアクセスできないサイトにつなげるVPNの利用が、クラック版が存在する最大の意義のようだ(詳しくは中国とVPNの切るに切れない関係を参照)。ただ鋭捷もバージョンアップを繰り返す中でクラック対策を行なっており、イタチごっことなっている。
ちなみに中国の大学を紹介したが、アジア全体で見てみれば「大学に行ける=学習環境が恵まれている家庭に育っている=お金に困っていない」ので、どこの国の大学でもノートPCを所有している学生は少なからず見かける。
だからと言って「貧しいだろうから」と中古ショップでゼロ円と買取見積りされるようなPCを送ると「ありがた迷惑」だと現場からも聞くので、そういう善意はやめたほうが吉だろう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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