x86とはアーキテクチャーは異なるが、インテルの要請を受けて「Itanium」対応のWindows 2000もリリースされた(クライアントとサーバー)。しかしその後Itanium対応版は、サーバーOSだけになった。市場がIAアーキテクチャーのCPUを選択したが、Windows自体は複数のプロセッサーに対応する能力があったわけだ。
ARMアーキテクチャーのプロセッサーは多岐に渡るため、マイクロソフトはARMベースのSoCを作っているクアルコムやNVIDIA、TIなどと共同で、WOAを開発している。WOAはプレインストールOSとして、タブレット製品のメーカーに提供される。そのためPCパーツショップや家電量販店で、WOAのパッケージが販売される予定はない。あくまでタブレットにOSがプレインストールされた状態での販売となる。
WOAがサポートするハードウェアは?
先に述べたとおり、クアルコムやNVIDIA、TIといったARMベースのプロセッサーメーカーが、WOAが動作するSoCを開発している。そしてクアルコムは「Snapdragon S4」シリーズのMSM8960プロセッサーを、NVIDIAは「Tegra 3」を搭載したWOAのテスト用PCを、マイクロソフトと共同で開発者向けに配布すると発表している。
マイクロソフトではWOAのフォームファクターとして、タブレット以外も開発されていると述べている。タブレットといっても、iPadやGALAXY Tabのような一枚板(スレート)の機器だけでなく、ASUSTeKの「Eee Pad Slider」のようにキーボードを備えたノートパソコン風の機器まで、いろいろな機器が計画されているようだ。しかし「低消費電力でそこそこのパワー」というARMアーキテクチャーの特徴を考えると、デスクトップパソコン的な機器はあまり考えられない。液晶ディスプレー一体型のWOAデバイスはあり得るかもしれない。
WOAタブレットは携帯電話のように、通常は電源をオフにすることなく使うことになるようだ。電源ボタンを押しても電源オフにはせずに、超低消費電力モードで3G/4G、無線LANでのインターネット接続を維持した「Connected Standby」モードに入る。この機能により、例えばカバンに入れたままでも、メールサーバーにアクセスして、新着メールをチェックするといった動作が可能になる。
Windows 8がタブレットで対応するデバイスには、GPSや傾きセンサー、明度センサーにタッチセンサーなど、iPadやAndroidタブレットが搭載しているセンサーはすべて対応すると思われる。無線通信に関しては3G/4G(LTE)モジュールや無線LAN、Bluetooth、NFC(Near Field Communication)などに対応する。
液晶ディスプレーに関しては、Windows 8のMetroスタイルを使用するには1024×768ドット以上が必要になる。さらに、画面のサイドにアプリケーションを表示するスナップ機能を使用するためには、1366×768ドット以上が必要になる。そのため多くのWOAデバイスでは、1366×768ドット以上のディスプレーが使われることになるだろう。
バッテリー駆動時間はデバイスによって左右される面が大きいが、iPad以上のバッテリー駆動を実現したいと、マイクロソフトは考えているようだ。
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