AndroidがスマートフォンのOS別シェアで過半数を占める中、相変わらずAndroidベンダー各社のOS戦略に懐疑の目が向けられている。Androidスマホで好調なSamsungが進める「Bada」について以前取り上げたが(関連記事)、今度は大改革が進むソニーが「PlayStation Vita」(PS Vita)のOSをモバイル向けに拡張するといううわさも出ている。
ついにスマホのシェアで50%を超えたAndroid
低価格スマホの伸びがこれを支える
Gartnerが2月15日に発表した報告書によると、Androidは2011年第4四半期のスマートフォン市場で50.9%のシェアを占め、ついに過半数を超えた。前年同期の30.5%から約20%の増加だ。2位のiOSは23.8%。こちらも前年同期の15.8%から8%増加している。主要OSでは他にもSymbian、Blackberry、Windows Phone/Windows Mobileがあるが、いずれもシェアを落としている。ちなみにSamsungのBadaは2%から2.1%と微増した。
この期間、Androidは確かに驚異的にシェアを伸ばした。だが、Androidメーカーの数値をみてみると、順調なのはSamsung、それにZTEとHuaweiぐらいだ。Androidスマホの増加は主として、安価な端末を作成するZTEやHuaweiの貢献が大きく、ハイエンドではやはりiOS端末が強いように見える。
クラウド時代に欠かせないスマートデバイスの開発部隊を
自社に抱え込んだソニー ただし現状の業績は……
さて、先週の話題としてはSony Ericsson、あらためSony Mobileがある。2011年10月に親会社のソニーとEricssonが合弁解消を発表。ソニーは2月16日にこの取引完了とともに「Sony Mobile Communications」という社名で再スタートをきることを報告した。
これにより、“ソニエリ”で親しまれたSony Ericssonは10年の歴史に幕を閉じた。ソニーとEricssonが手を組んだ当時、携帯電話業界は世界普及に向けた時代であり、規模が重要だった。だが、ときは“ポストPC”時代――PCよりもスマートフォン、タブレットなどのモバイル機器が重要になり、これらの端末がシームレスに連携するためのインフラの整備が進んでいる。この新しい段階では携帯電話単独での事業は意味をなさない。これがソニーが一度は切り離したモバイル事業を再び傘下に置く背景といえるだろう。
Sony Ericssonはずっとハイエンド寄りで製品展開をしてきた。スマートフォンでは当初のSymbianのほか、Windows Mobileも採用、その後はAndroidを主軸としXperiaブランドを推し進めてきた。しかし、Xperiaで一度は盛り返したものの、Androidスマホの価格が総じて下がりはじめる中、世界的には決して大きなヒットをおさめたとは言いがたい状態だ。
実際、数字を見てもSony Mobileは苦しい状況での出発となる。1月に発表した第4四半期の業績報告書では2億700万ユーロの赤字を計上。Gartnerの2011年Q4のデータでも、ついにトップ10から落ちてしまった。2011年通年でも、シェア1.8%でなんとか10位に踏ん張っている状態だ。
Appleは音楽・動画などのコンテンツとアプリストア、それにクラウドとプラットフォームを整え、端末との相乗効果を出している。ソニーは今後、PC/タブレット/TV/ゲーム、そしてスマートフォンで一貫したユーザーエクスペリエンスを提供するために急ピッチで作業を進めると思われる。
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