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“リスペクト”を見える形に――進化する「ニコニ・コモンズ」

2012年02月22日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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「リスペクト」と「奨励金」の関係

―― これまでもニコニコ動画では、タグによってそういったリスペクトの表明はされていた部分もあると思うのですが、それとはどう異なるんでしょう?

 タグもそうだし、大百科もそうですね。ただ、作者が明確に意思表示をする、という仕組みはいままでなかったんです。なので今回の改定では、作者がコンテンツツリーで「親」を登録すると「親」に通知がいく仕組みを新たに設けています。

投稿者は“親になった”ことが通知されるようになっている


―― 通知が行くと、「そういう使われ方は嫌だ」というケースもありうる?

 もちろん。本当に嫌だ、という場合にはもちろん削除依頼ができますし、2月からは「勘当機能」も用意されます。1月までは子作品を認知せざるを得ないけど、この機能を使えば「お前は俺の子供じゃない!」と親の方から関係を切ることもできるようになります。


―― 勘当とは、またニコニコっぽいですね。

 とはいえ、「ホントに嫌だ」というケースってそんなに頻繁に起こるものではないかな、と思っていますけどね。どちらかというと、リスペクトの幅が広すぎて、「あなたのような歌い手になりたいです」みたいなものまで親子関係が結ばれても、親からすると「うーん、ちょっと……」という場合を想定しています。「作品同士の関連がまったくないので、誤解を与えるのを避けたい」という声の方が多い印象ですね。考え方としてはTwitterのフォロー・フォロワーくらいのゆるい関係と捉えていただければと。


―― なるほど。ただ、今回の奨励プログラムではその“ゆるい”関係をベースに奨励金を支払うわけですよね。大丈夫なんでしょうか?

 そこはけっこう誤解も多いところなんですが、基本的にコンテンツツリーと奨励プログラムは別物なんです。コンテンツツリーはニコニコ動画の二次創作的な文化を促進しようという思いで用意したものです。一方奨励プログラムは、日本最大級のCGMサイトとして、個人・法人を問わず、ここでクリエイターが「ご飯が食べられるように」ならないといけないんじゃないか、という思いから生まれたものなんです。

 まつもとさんはよくご存じかと思いますが、たとえばアニメもなかなか儲からない、つまりクリエイターが食べていくのが難しい、という状況が続いています。


―― そうですね。

 ニコニコ動画ではチャンネルでのアニメ公式配信――最近では、そこで一挙配信や先行配信など、様々なビジネスの仕掛けの場として利用して頂けるケースも増えています――を通じて、そこに少しでも貢献ができればと思っています。アニメの例は、主に法人さんですが、奨励プログラムはこれを個人の方へ、という考え方で始まっています。

 ニコニコ動画で人気が出て、商業の世界での活躍につながるクリエイターさんが増えています。そういった先輩クリエイターを目標に頑張る方々にこの仕組みを利用していただいて、次の飛躍までの一助としてもらえると本望です。あ、ビッグになったら奨励金は後進にゆずってあげてください(笑)。

ニコニコチャンネルはアニメの公式配信も増え、テレビに加わる新たなメディアとして注目を集めている

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