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山谷剛史の「アジアIT小話」 第14回

中国で「スマホ+SNS」が普及するカギは日本のゲーム!?

2012年02月07日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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「スマートフォン+SNS」普及のカギは“ゲーム”
そこに日本企業が絡めれば面白い結果に!?

ポータブルプレーヤー販売店では、PSPっぽいMP4プレーヤーが並ぶ

ポータブルプレーヤー販売店では、PSPっぽいMP4プレーヤーが並ぶ

 ゲームは今も昔も中国のデジタル製品普及のキーとなっている。ハードウェアではPCやスマートフォン、タブレットの普及に一役買ったし、サービスではSNSの普及にも一役買っている。そのため、ファミコンエミュレーターも入っている学習用電子辞書という本末転倒な製品も登場している。

2年前の農場ゲームブームは新聞やニュースにも取り上げられた

2年前の農場ゲームブームは新聞やニュースにも取り上げられた

「開心農場」はブレイクし、SNS普及に貢献した

「開心農場」はブレイクし、SNS普及に貢献した

 一方で過去に中国においていくら大ヒットし、ブームが起きたゲームでもいずれは下火となる。例えば中国でSNS普及を牽引したのは日本で「サンシャイン牧場」と呼ばれる有名な農場牧場育成ゲームであったが、今はこのジャンルのゲームは利用者が友人と繋がるために付き合い程度に使われる程度となっている。

 もっとも、SNS普及を牽引したのは「開心農場」だったが、後に騰訊がQQユーザー向けに「QQ農場」をリリースしたため「SNSサービスの利用登録をしなくとも農場ゲームは遊べる」とばかりにユーザーがそちらに流れてしまったのだが。

 だから特工大戦が人気ゲームになったところで騰訊提供なので、それが原因でSNS人気になることはないだろう。DeNAがどれだけ人気となるゲームを投入できるかにかかっている。

人気のAngry Birds。中国では多くのプレイヤーに出会う

人気のAngry Birds。中国では多くのプレイヤーに出会う

 家庭用ゲーム機のエミュレーター+海賊版ソフトも、知っている人もいるだろうが以前は人気だった。だが、現在は利用する人をあまり見かけなくなった。今はタブレット&スマートフォン向けスタンドアロンのAngry Birdsなどのゲームが爆発的な人気だが、過去の事例を見るにいつまでも人気が落ちる可能性も考えておきたい。

 SNS+農場牧場育成ゲームブームのときの端末はPCだった。だがスマートフォンが一気に普及している今、ここでSNS向けゲームアプリに火がつけば短期的には「SNS+スマートフォン+スマートフォン向けアプリ」がヒットする可能性はある。

 もちろん、ヒットするにはタイミング的にはGREEやDeNAの中国進出のタイミングは結構よかったのではないかと個人的には思う。ゲームそのものが中国の若者に合うものか(さらにお上の気分を害さない内容か)は大事だが、消費者に伝えるPR戦略も大事となろう。少なくとも「日本でヒット!」は通用しない。

 日本のネットユーザーがTwitterからFacebookに移行していくように、中国のネットユーザーがオープンな各社の微博からクローズなSNSである人人網や開心網に移行していくかもしれない。

 「スマートフォン+SNS」の普及により、ハードウェアの売れ方や新サービスの方向性も決まってくる。その普及を牽引するのはゲームだ。そこに日本企業が乗れるかどうか、今年は注意していきたい。

 中国政府はあまりSNSは興味を持っていないようだ。政府関係の機関から多数出ているネット世論対策を見ると、微博や掲示板だけに注目するものばかり。政府関係者は普及を「大穴」と見ているかもしれないが、大穴が普及すれば新たなネット世論の流れができて面白い。

 もちろん百度、淘宝網、捜狐、人人網、開心網などの著名ベンダーは普及してほしいと思っているわけだし、日本のゲームメーカーがこういうところとコンタクトをとると、面白い結果が出るかもしれない。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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